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不可思議新聞  作者: 秋実
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第1話-④:最後の対決

眼を覚ますとボクは、カーテンが締め切られた薄暗い部屋の中に居た。

「お目覚めになられたようですね・・・」

ボクはゆっくりと体を起こすと声のする方を向いた。

「瀬戸内さん・・・」

暗い部屋の中に瀬戸内さんが居た。

「すみませんね、どうしてもあなたが必要だったもので、警察にいる部下に連れて来させました」

ボクは逃げようとしたが周りには青木さん達も居た。そんな姿を見て瀬戸内はうっすらと笑顔を浮かべて言った。

「無駄な抵抗はおやめなさい、少年」

              ※

少年が警察署から居なくなり、取り敢えず周りを探したが見つからなかった。

一体、どこへ行ったのだろう・・・

仕方なく、私は約束の時間が迫っているので捜索は神崎に任せ、水野幹本部へと向かう事にした。

「お待ちしておりました。明智さん。こちらへ・・・特設会場をご用意いたしております。」

青木に案内されて行くと目の前には幕が掛ったステージが用意されおり、ステージの上には教祖―瀬戸内乃海が立っていた。そして、そのステージの前に中央の通路を開けて左右に分かれて信者たちが椅子に座っていた。

「こちらから、ステージの方へ向って、途中の真ん中ぐらいで止まって下さい。」

青木に言われるがまま、私は、中央の通路を歩いてステージへと向かい、真ん中辺りで止まった。

「お待ちしておりました、明智さん・・・。私と戦いに来たそうですね」

「ああ、あなたの力をインチキだと暴いてやろう」

私の台詞に信者たちがざわついた。

「面白い事を言いますね、それでは私の力を本物だと証明してあげましょう」

幕が上がると目の前には両手を縛られた少年が居た。しかも、その姿は教祖の様に浮かんでいた。

「!少年・・・」

「あ、明智さん・・・」

「貴方に、この猟銃をお渡しいたします。私の力がインチキだと仰るのでしたら、あの少年を撃ってますよね?」

「・・・」

「撃てないんですか?私の力がインチキだと言うんでしたら、ほら」

信者の一人が私に猟銃を押しつけて来た。

私は猟銃を構えた。

「や、止めて下さい。明智さん・・・教祖様の力は本物なんです」

「・・・」

「どうですか?明智さん・・・あなたに撃てますか?」

「止めて!!明智さん!!」

少年はそう言うと縛られている腕を上げた。

「!」

私はある事に気付いた。そして、全てが解決した。

「分かった・・・」

「負けを認めるのですね」

私は教祖の言葉を否定した。

「・・・いや、この勝負、私の勝ちだ!」

そう言うと私は猟銃の引き金を引いた。

‘’パンッ‘’

辺りに音が響いた。そして、少年が割れた。

「!」

「私の目の前に浮かんでいたのは鏡に映った少年だ!そして、本物の少年はここだ!!」

私はステージに上り、猟銃を床に置くとステージ横にあった支柱の幕を引き剥がした。

するとそこには機械で吊るされた少年がいた。

「明智さ~ん・・・」

「大丈夫か、少年」

「はい」

私は少年を下ろすと信者たちの方を向いた

「これが教祖の力の真実だ!!」

信者たちは先程よりザワついていた。

すると青木が、猟銃を私達に向けていた。

「!」

「わ、悪いが・・・あ、あんた達にはこ、ここで死んでもらう・・・」

「止めなさい青木」

教祖は静かに言った。

「で、ですが教祖様」

「これまでです・・・私たちの罪を流しましょう・・・」

そう言うと教祖の口元から血が流れた

‘’ドサッ‘’

教祖が倒れ、急いで私たちは駆け寄り、教祖を抱え起こした。すると、教祖の右手からビンが落ちた。

「これは・・・、少年!急いで救急車を、早く!」

「分かりました」

「なぜ、こんな事を」

「罪滅ぼしに・・・私は・・・本当に人の心が読めるのです・・・」

「もういい、喋るな」

教祖―瀬戸内乃海は語った。かつて、その力を使って、村の人々を救ってきた。そんなある日、力の話を聞いた地元のヤクザだった青木が訪ねて来た。彼は言った‘’こんな、小さな村だけを救って、なんになる。全国にも多くの罪から救われたいと願う人々が居る。そんな彼らの為に、手伝ってほしいと‘’。瀬戸内は自分の力で人々が救えるのであるならと青木に協力することにしたが、実際は教祖とあがめられ、詐欺紛いな事をし、多くの金や命を奪ってきたと・・・

「・・・あなたは、超能力者を探しているんですね・・・」

「!な、何を」

「・・・あなたの大切な者を奪った、その人物を・・・。気をつけなさい・・・その人の力は・・・

「あなた、その人物を知っているんですね、教えて下さい。そいつは誰なんだ」

「それは・・・」

そこで瀬戸内乃海は息絶えた。

その後、事件を聞きつけ、神崎さんがやって来て重要参考人として青木さんら幹部を警察署へと連行して行った。

車に乗る途中で、青木さんは言った。

「本当に救おうとしたのはお前らか・・・それともオレ達か。見てみろ、多くの信者たちが救いを失ってしまった・・・皆、オレ達は直ぐに戻って来る!水を汲め!汲み続けろ~!!」

「明智さん・・・」

ボクは何とも言えない気持ちになり、明智さんに声を掛けた。

「帰るぞ、少年。私達にはまだ仕事が残っている」

「そう言えば、明智さん」

「どうした」

「どうして、あの時、ボクの映っていたのが鏡だと分かったんですか?」

「何を言っているんだ。君は?君がヒントを私にくれたからだろ」

「ヒント?ってボクが何時?」

「あの時、腕を前に上げていただろう、あれで君の時計が反対なのに気づいたんだ」

「そうだったんですか、いや~、あの時、ナイフで脅されていたから無我夢中だったんですよね」

「ハァ~・・・君という奴は・・・褒めて損したよ」

「そ、そんなぁ~」

「ほら、早く帰るぞ!少年」

「はい」

こうして、ボク達の帰路に着いた。

次の日、ボクは新聞社へ到着しエレベーターを待っていた。エレベーターが開くとそこには社長が降りて来てボクに気づいた。

「おや?君は、新入社員の中に居た」

「はい、探求部の」

「そうか、そうか、君だったのか円と取材に行ったと言うのは」

「えっ・・・と」

「ああ、円と言うのはオレの姪っ子の明智円だよ」

「ああ、明智さんの事ですか・・・って、姪!?」

「これからも宜しく頼むな、少年。じゃあな!!」

そう言うと社長は行ってしまった。

社長の言い方は確かに明智さんにそっくりだった。

ボクはエレベーターに乗って地下へ降りると、目の前に黒髪の長髪の美女が居た。

彼女は軽く頭を下げるとボクと入れ換わる様にエレベーターへと乗った。

ボクは美女にうっとりとしてしまった。すると、後頭部を誰かに叩かれた。

「よっ!」

「谷村さん」

「聞いたぞ、いきなりの取材で大変だったみたいだな」

「そうなんですよ~、殺人の現場にも合うし、ナイフで脅されるし~」

「みたいだな、そう言えば明智麗華に聞いたが、水谷氏が村上さんと、旅館での信者殺しも上の部屋を借りて、床下に走っている電灯を切って落としたと自供し始めたそうだぞ」

「そうなんですか・・・良かった・・・」

ボクがそう言うと部屋から明智さんが飛び出してきた。

「そんな所に居たのか、部長!取材行ってきます」

「ああ、気を付けてな」

「行くぞ、小林君」

そう言うと、急いで階段を降りて行った。

「今、ボクの名前・・・」

「珍しいな、あいつが名前で呼ぶなんて」

「えっ!?」

「あいつは自分が信頼できる人間しか名前で呼ばないんだ、良かったな」

「そうなんですか」

ボクは少し嬉しくなった。

明智さんは痺れを切らしたのか下の階から催促する声が聞こえた。

「ほら、早く!!小林君」

「あっ、はい!部長、行ってきます」

「気を付けてね」

ボクは急いで明智さんの後を追いかけた。笑みを浮かべて・・・

こうしてはボク-小林清貴と明智さんとの物語が始まった。

その後もボクたちは様々な不可思議事件に巻き込まれるのだが、それはまた別の物語である。


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