第1章ー①:出会い
~プロローグ~
この世には不可思議な現象、伝説が存在する・・・その真実を伝える事こそが私達-不可思議新聞の使命なのだと
第1話-①:出会い
舞台は日本國-帝都にある大手新聞社。今日からボクの仕事先で、物語の始まる場所である。
入口の自動ドアを抜け、受付に座っている女性に声を掛けた
「あ、あの」
「どうなさいました」
「今日からこちらで働かせていただく・・・」
「ああ、新入社員の方ですね、お待ちしておりました。あちらのエレベーターで5階に行って下さい」
「はい、ありがとうございます」
ボクは言われた通り、エレベーターへと乗り込み上へと上がった。
エレベーターを降りると目の前に受付場が用意されていた
「こんにちは、新入社員の方ですね」
「はい」
「あちらの部屋に行って下さい。そこでオリエンテーションがありますので」
「はい」
部屋に行くと既に数人の新入社員が座っており、ボクは開いている窓側の席に座った。しばらくすると、先程の受付をしてくれた女性と口ひげの男性が入って来た。
「皆さん、お待たせいたしました。これからオリエンテーションを始めさせていただきます。まずは当新聞社社長の上田士朗からのご挨拶です」
「やあ、みんな、今紹介にあずかった上田だ。これから皆には真実を読者に伝える為に頑張ってもらう。それじゃ、後は宜しく」
社長はそう言うと部屋から出て行った。
「それでは、これから皆さんの所属する部署の部長さんが呼びに来ますのでここでお待ち下さい」
(「呼ばれるまで待機か・・・出来れば政治部が良いなぁ~」)
そんな風に願って待っていると次々と部長達がやって来て、新入社員の名前を呼んだが、一向にボクの名前は呼ばれなかった。
そして、とうとうボク一人だけが残ってしまった。
(「どうしたんだろう・・・ぜんぜん呼ばれないし、残っちゃった・・・」)
不安に思っていると一人の男性がコーヒー片手に入って来た
「やぁ、悪い、悪い。遅くなった」
「えっ、あなたは」
「谷村だ、君が所属する部署の部長だ、宜しく頼むよ」
「あっ、よ、宜しく、お、お願い致します」
「ほら、片っ苦しい挨拶は良いから、案内するよ、付いておいで」
ボクは谷村さんに連れられ、エレベーターへと乗りこむと、谷村さんは地下1階のボタンを押した
エレベーターを降りるとそのまま、廊下の奥へと向かった。
「ここだよ、今日から君に頑張ってもらうのは」
案内されたドアの看板を見てボクは頭に?が浮かんだ
「‘’探求部‘’?」
「ああ、そうだよ」
「あの、探求部って」
「ほら、入って、入って」
ボクは谷村さんに背中を押され、部屋へと入った。
部屋には一人の女性がパソコンに向かって作業をしていたが、こちらに気づいた。
「あら、部長、お帰りなさい。もしかしてその子が」
「今日から入った新人君だよ」
「よ、宜しくお願いします」
「彼女は山田瞳さん。記者の一人だよ。他にも居るんだけど皆出払っていてね」
「記者と行っても、数年前の事よ、今は他の記者たちの予定管理なんかがメインだもの」
「結婚したから長期の取材とか危険な事はさせられないよ(笑)」
「えっ、危険なんですか。ここって」
ボクは驚いてしまった
「君は不可思議新聞というものを知っているかい」
「は、はい・・・確か、他の新聞社では扱わない様なネタを扱っていると・・・」
「ああ、そうだ。例えば、怪奇現象、伝奇なんかの真実を求め、読者に伝える為日々、取材し続けている」
ボクが絶句していると山田さんが背中を叩いて言ってくれた
「大丈夫よ、危険と言っても実際に調べに山奥に行くぐらいだから」
その言葉に安心できた。そして、こんな職場の雰囲気にも安心していると勢い良く入口のドアが開き、一人の女性が長い髪をなびかせながら入って来た。
「部長、例の教団に取材が可能となった。今から行って来る。山田さん、誰か運転手は残っているか」
「生憎、今、皆出払っています」
「そうか・・・なら、ヒッチハイクででも向かうか」
そう言うと女性は部屋から出て行こうとする所を谷村さんが引き止めた
「明智さん、待ってくれ」
「今日から新しい後輩が入った。研修を兼ねて彼を連れて行ってくれ」
「・・・必要ない。取材の邪魔になるだけだ」
「そう言わずに、ねっ!それに彼は車の免許を持っているよ」
「本当か」
女性はボクの方を向き、顔を近づけた。
ボクはドキッとした。
「は、はい、一応」
女性は少し考え、谷村さんの方を向くと言った。
「・・・わかりました、では宜しく頼むぞ、少年」
「はい、それとボクの名前は・・・」
自己紹介しようとしたが彼女は部屋から出て行ってしまった。
「えっ・・・」
ボクが戸惑っていると谷村さんが教えてくれた
「悪いね、彼女―明智円はクセが強いから、でも、記者としては超一流だから、勉強になるよ」
廊下から明智さんがボクを大声で呼ぶ声が聞こえた。
「早くしろ~少年~」
「は、は~い」
ボクは急いで明智さんを追いかけた。彼女は既にエレベーターに乗っており、待っていた。
ボクが乗り込むとそのまま、扉を閉め、会社の車が置いてある地下2階へと向かった。
到着し、部長から預かったキーで該当する車を見つけると明智さんは助手席へと乗り込み、ボクも急いで運転席へと乗り込んだ
「あ、あの、明智さん。一体何処に行けば」
「ここへ頼む」
明智さんはボクに何かの三つ折りパンプレットを渡した。
ボクは表紙の文字を見て明智さんに聞いた。
「えっ~、‘’水野幹‘’ってなんですか?」
「‘’水野幹‘’・・・今はやりのカルト教団だ」
「カルト教団?」
「人は水から始まり、水へと帰るというのがコンセプトらしい」
「なんかあやしいですね」
「なんでもその教団の教祖―瀬戸内乃海は不可思議な力があるそうだ」
「不可思議な力?」
「ああ、それは道中説明する。今は車を発進させてくれ少年」
「分かりました」
しばらく、車を走らせながら、ボクは明智さんに聞いた。
「あの先程の不思議な力とは?」
「どうやら瀬戸内乃海はヒトの心を読んだり、浮遊する事が出来るらしい」
「えっ!?」
「そして極めつけは、人を呪い殺す事が出来るらしい」
「呪い殺す!!?」
「ああ、調べた所、教団は裏切りを許さない、もし逃走しようものならその者に呪いを掛けて殺すそうだよ。調べた所、つい先日も教団から逃げ出した男が警察に保護を求めて来たが、その日の夜に殺されたそうだ」
「えっ、それって殺人じゃ」
「保護を求められた派出所の警官は取り敢えず近くにあった旅館に男を泊めた。念のため、部屋にかぎを掛けておくように指示した。翌日、警官が部屋を訪ねると反応が無く、扉には鍵が掛っていた。警官は旅館の人に頼んで合鍵で開けてもらい、一緒に部屋へと入ると男の頭の上に電灯が落ちており、男は亡くなっていた。警察が部屋を調べたが窓には鍵が掛っていたらしい。それで警察は事故と判断したそうだ」
「怖いですね」
「えっ?おもしろそうじゃないか」
「おもしろ?」
「ああ、その呪いと呼ばれる不思議な力、本物かどうか見てみたいものだ」
「ボクは呪いとか無いと思いますけど・・・」
「君は、信じないタイプの人間か?」
「はい、この世の事は全て科学で説明できると思います。大学も物理学専攻だったもので」
「ふ~ん、そうか。まぁ、私も信じないタイプの人間だからな」
こうして、ボクらはオカルト教団‘’水野幹‘’の本部へと車を走らせた。