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錆びついたロボット
意識と呼べるものが戻った時、彼の視界は暗闇だった。
どれだけの時間眠っていたのか、彼には見当もつかないだろう。
背中にのしかかったなにかが、彼の動きを妨げていた。幸い両腕にぐっと力を込めると、そのなにかをかき分けるようにして背中が持ち上がっていくのを感じた。
ズボッという小気味いい音とともに、彼の目に光が飛び込んできた。
しばらくホワイトアウトした後、彼は、自分が荒野の真ん中に埋まっていたことに気づいた。周りをキョロキョロと見回しても、彼の知るいわゆる「建物」や「人間」は見当たらない。高い空、果ての見えない野原、それだけだった。
彼のメモリは、彼に「旅」という言葉を与えた。
彼は土の挟まった手足を動かし、荒野の先を目指して歩いて行った。
-錆びついたロボット、おわり