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旦那を探して三千里  作者: 磁石
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第七話 夜が明けて

どうやら、今の私は一話3000文字くらいが限界なようです。

この連載続けていくうちに、増えないだろうか・・・・


 翌朝、サクラが目を覚ますとテディナ以外の[銀の矢]の姿が見えなかった。

 聞けば、すでにドラゴニックウルフの剥ぎ取りに向かったらしい。


「あれだけ大きいとね、かなりの力仕事になるから男性陣に任せたの」


 もちろんテディナも出来ないわけではないが、魔法士のテディナは精神修練がメインで、どうしても肉体修練がメインの戦士系より非力になってしまう。

 普通の魔物ならテディナも剥ぎ取りをするが、大型の魔物の時は皆のバックアップに回るそうだ。

 今は朝食の準備をしているらしい。

 サクラは座っているように言われたが断り、一緒に薪を集めることにした。


「ねえ、サクラちゃんって魔法士よね、それもかなり高レベルな」

「む、何故そう思ったんじゃ?」


 ここがゲームと同じ世界だということは分かったが、常識とかはさっぱり分からない。

 下手に答えると、とんちんかんなことを言ってしまう可能性がある。

 サクラは質問に質問で返した。

 

「だって、無詠唱でイル系の魔法使えるし、アースランスなんて私より威力あるし、何より魔法媒体無しで魔法を使うなんて見たことないわ」

「そ、そうか」


 どうやら、相当むちゃくちゃなことをしたようだ。

 特に魔法媒体、杖やタリスのような魔法を使う際に補助する道具、無しで魔法を使ったのが拙かったらしい。

 ゲームでは戦士職が回復魔法などを使うのに魔法媒体無しで行っていたから問題なさそうなものだが。

 やはり三百五十年以上経つと色々変わってしまうのだろう。


「で、どうなの?」


 さて、どう答えたものか。

 魔法士であるか否かは肯定すればよいだけじゃが、ワシのレベルはわからんしな。

 ステータスウィンドウが見ることが出来ればよいのじゃが。


 そう思った瞬間、サクラの目の前に半透明の、ゲームと同じウィンドウが現れた。


 ・・・・・・出おったわい。

 マウスもコントローラーもないのに、不思議なものじゃ。

 えー、何々・・・・・・これは、ワシのゲームキャラと同じじゃのう。


 レベルもパラメーターも、使えるスキルも魔法も技も、全部同じである。 

 職業(ジョブ)に関しては<賢者>になっていた。

 

 さて、これをそのまま伝えても良いものか・・・・・・。

 そういえば、昨日ガントル殿が<銀の矢>はそこそこ有名なパーティと言っておったな。


 [銀の矢]の面々はいったい何レベルなのだろうか。

 サクラは鑑定魔法アナライズを使って、使えることは先ほど確認した、テディナを観てみる。


 五十二レベルじゃと? 道理でドラゴニックウルフに苦戦するはずじゃ。


 ドラゴニックウルフは八十五レベル前後なので、五十二レベルではパーティで戦うにしても少々厳しい。

 確実に倒すには平均七十レベルくらいは欲しいところだ。


 ということは、五十二レベルで高い方になるのか?

 ま、まてまてまて、五十二レベルなんて初心者もよいところじゃぞ。

 これは、正直にワシのレベルを教えるのは拙いかもしれんのう。


 まさか、自分のレベルの二十分の一以下だとはサクラも思ってなかった。

 正直に言っても疑われるだけだ。

 ただでさえ怪しい身の上なのだから、これ以上怪しさを重ねるのは避けたほうがいいだろう。


「ワシは八十レベルの魔法士じゃよ」


 それを聞いたテディナは肩をがっくりと落とした。


「はあ、私より高いだろうとは思ってたけど、まさか三十レベル近く上だなんて」


 どうやら、これでも高すぎたらしい。


「ちなみに、テディナ殿が知ってる最高レベルはいくつかの?」

「それはもちろん、六英雄のメリュジーヌ様の三百五十八レベルでしょ。でも、あの方は竜人族だから私達と比べるのは間違ってるわよ。人族だと、これまた六英雄のロードヴァン様の百五十七レベルが最高かな」


 何というか、頭の痛い話である。

 ゲームと同じなら、三百五十七レベルなど百人いてもサクラの相手にならない。

 実際、ゲームの領土戦で蹴散らした覚えがある。


 うむ、偽って正解じゃな。

 

「さて、薪はこんなもんでいいかな。というか、多いくらいね」


 話しながら集めていたせいか、必要以上に集めてしまった。

 二人は野営したところに戻って、剥ぎ取りに行った面々が帰ってくるのを待つことにした。

 

 森には相変わらず都会では味わえない清涼な空気に満ちており、あれだけのことがあったのに、夢の中にいるのではないかと感じてしまう。

 むしろ、あれだけ非現実的なことがあったから余計にそう感じてしまうのか。

 だが、夢なら覚めるもので、ならば覚めない夢は現実なのではないか。

 フランスの思想家デカルトも、我思う故に我あり、と言っている。


 そんなことを、ごちゃごちゃと考えていたサクラのもとに、胃をくすぐる良い匂いが漂ってきた。

 見れば、テディナが鍋を焚き火にかけており、その鍋から漂ってきていることがわかった。

 

 どうやら朝食はスープらしいの。

 しかし、鍋なんぞあったか?


 そして、スープの完成を見計らったかのように、ガントル達が戻ってきた。

 もしかしたらテディナが戻ってくるタイミングを見計らったのかもしれないが。

 

「おう、相変わらず美味そうだな」

「・・・・・・うむ」

「テディナ、いつもありがとうございます」

「いーえ、そっちもお疲れ様」


 ガントル達は背負っていた袋、剥ぎ取った牙や爪なんかが入っているのだろう、それを置くと腰を下ろした。

 テディナが面々にスープの入ったお椀とスプーン、主食のパンを渡す。

 サクラもご相伴に預かった。


「これは美味じゃな、驚いた」

「ふふっ、ありがと」


 干し肉以外は、何だかわからない食材で作られたスープには深いコクがあって、かなり美味しい。

 サクラが空腹であったこともあるが、たとえそうでなくても、お店が開けるほどであると感じた。

 パンとの相性もよく、浸して食べればいくらでも入りそうだ。

 

「おかわり、いる?」

「よいのか? なら、いただこう」

 

 テディナはサクラのお椀にスープを注いだ後、腰につけていたポーチからフランスパンのような長いパンを取り出すと、適当な大きさに切ってサクラに渡した。

 その光景はまるで手品を見てるかのようだった。

 明らかに、あの長いパンはポーチに入る大きさではない。

 

 そうか、アイテムボックスか。

 あれの中に鍋や食材を入れてたんじゃな。


 正確には、アイテムボックスの魔法が付与された魔道具で、ゲームではアイテムポーチとかアイテムバックとか言われていた。

 アイテムボックスには容量制限があるので、多くのアイテムを持ちたい人が装備していた。


 ワシのアイテムボックスには何が入っていたかのう?


 サクラが念じてみれば、ステータスと同じように、今度はアイテムボックスの一覧が出てきた。 

 ボックスの中にはイベント用のアイテムと、譲渡不可のユニーク武器、防具が入っていたが、ポーションなどの消費アイテム系は全くなかった。

 

 そういえば、ゲームをやめるときにギルドメンバーに配ったんじゃった。

 こうなると知っておれば、むしろ色々買い込んだのじゃが。


 とはいえ、アイテムボックスの存在は朗報である。

 サクラは食事を進めながら、持っているアイテムを一つずつ確かめることにした。





サクラのステータスは明言ないよう考えています。

とはいえ、あくまで現時点での話。

私の気なんて、雲よりあいまいですから。

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