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灰村家の喧騒  作者: 平遥
7/17

灰村家の夏休み

灰村清次の夏休み


「……おはよ。」

「また、テンション低っいな、おい。」

「夏休みに補習なんて制度があるのはテストで点をとらない阿呆どもの所為だ。」

「……まぁ、そうだな。」

「お、否定しないのか。」

「お前がその阿呆の一員だと付け加えた上でならな。」

「いや、俺は阿呆じゃねぇよ。」

「お前、この前の期末試験で死んでたじゃねえか!」

「いやいや、あれは亮と萬田さんが悪い。」

「人の所為にするんじゃねぇよ!仮に何事もなくてもお前、勉強してねえだろ!」

「……まぁ、しないけど。」

「もう、あれだな。お前だいぶ白木に似てきたな。」

「いや、白木って誰よ。」

「お前マジか。……別に問題ないけど。」

「ところでふと思ったんだけどよ、補習なんて休んでもいいんじゃね?」

「いやいや、良いわけねぇだろうが!」

「補習をやってる時間を部活に回したほうがいいと思うんだよ。」

「なんつーか、あれだ。お前やっぱり阿呆だわ。うん。」

「野球部やサッカー部は部活を優先してるじゃねーか!」

「大会があるからな!?麻雀部の大会があるなら担任に申請してみろよ!」

「ないんだな、それが!」

「だろ?つまりそう言うことなんだよ。」

「……部内大会が……。」

「知ったこっちゃね~。」


その後担任が入ってきたことで夏期補習が開始された。

・・・・・・

「グッモーニン、黒田。」

「よっす、亮!」

「おはよ。亮。」

「……ああ、何だ。古田か。」

「いや、何で私を見てテンション下げてんのよ。」

「え?いやいや、テンション下げてるわけないじゃん。気のせい、気のせい。」

「そう?私の記憶だとまだ挨拶すらされてないのだけれど?」

「おはようさん!」

「私を見てないわよね!?私の鞄に付いてるマスコットに挨拶してるわよね!?」

「あ、気づいた?」

「嫌でもね!」

「相変わらず朝からテンション高いね。少し位ツッコミを休んだら?」

「じゃあボケないでよ!!」

「あ、それってフリ?黒田、どう思う?」

「フリだろ!!」

「だよね~。」

「え?何?私をツッコミのし過ぎで死ぬまで追い込むっていう新しいイジメなの?」

「あ、ほら補習始まるよ。古田は次移動でしょ?遅刻したいの?」

「アンタの所為でしょうに!!」

「黒田、どっちが悪いと思う?」

「9:1で古田が悪いな。」

「アンタら暑さで脳が沸騰してんじゃないの!?」

「「……そうかも?」」

「否定しなさいよ!!」

(キーンコーンカーンコーン)

「で?チャイム鳴ったけどいいの?」

「良いわけないでしょ!」

「あ~あ、遅刻しちゃった。……どうする?」

「……アンタらと此処でサボる。」

「いや、俺らはサボりじゃなくて次の補習を取ってないだけだから。」

「で、どうするって?」

「此処でサボる。」

「言い切りやがった!?」

「たまにはいいでしょう?」

「だな!」


その後、古田が普通に怒られたのは言うまでもない。

・・・・・・

―補習終了―

・・・・・・

「……やっと来た。」

「よう、竹内。筒井と萬田は?」

「……帰った。」

「は?」

「帰った。」

「何故?」

「夏休みだから、二人とも用事があるって。」

「そうかい。で?何で竹内は部室に。」

「私が伝えないと、灰村君、一人で部室で、待ちぼうけ。」

「なるほど。それは悪いことをしたな。」

「……別に。」

「んじゃ、帰るとするかね。」

「……そうだね。私もようやく(、 、 、 、)帰れる。」


今“ようやく”がやけに強調された気がするのは気のせいだと信じたい。

・・・・・・

「さて、部活なくなったしどうすっかね。」


こうやって急に部活がなくなると暇で暇で仕方ない。とりあえず家に帰ってみたけど亮も帰っていない。

「……ゲーセンでも行こ。」


俺には最近はまっているゲームがある。

『麻雀KING5』略してMK5と呼ばれているアーケード型麻雀ゲームだ。

少しだけプレイしようかと思って近所のゲーセンに行くと……

「あ、兄さん。」

「……何やってんだ、てめぇ。」

「え、友達とゲーセン。」

「初めまして、亮くんの友人の古田といいます。こっちは黒田です。」

「あ、ども。初めまして。黒田です。」

「あー、初めまして初めまして。」

「で、兄さんは何でいるの?」

「俺は、MK5でもやろうかな、と。」

「マジで、キレる、5秒前?」


「「それじゃ死語だよ!!」」


「わっ!兄さんと古田のWツッコミ超貴重!」

俺は、この古田とかいう少女、亮と同い年のクセに中々のツッコミだな、と思った。

・・・・・・

亮達は丁度帰るところだったらしく早々に別れた。

「さて、MK5、MK5っと。」

・・・・・・

東一局 親:上家

配牌:1m2m4m8m1p2p3p9p2s3s4s西西


上家:打9m


清次ツモ牌5s

「この手なら狙いは……三色か、何切ろ?3m1sで待つとして、取り敢えず。」

清次:打9p

下家:打北

対面:打1p

上家:打9s

清次手牌:1m2m4m8m1p2p3p2s3s4s5s西西

清次ツモ:6s

「お!来た来た。」

清次:打8m

下家:打東

上家:ポン 打3m

清次:チー〔1m2m3m〕打4m

1p2p3p2s3s4s5s6s西西 〔1m2m3m〕

下家:打南

対面:打1s

「よっしゃ、ロン!」

1翻(三色同順)1000

・・・・・・

なんやかんやで最終結果

1着、上家

2着、下家

3着、対面

ラス、清次

「いやいや、なんで?なんで東一局以降一度も和了れねーの?」

詳しい結果が省略されてるせいでよく分からなくなっているがあれ以降一度も和了れなかったのだ。

「……帰ろ。」

・・・・・・

一つ不幸なことがあると不幸は続くものだ。

近年の日本国における夏の名物ゲリラ豪雨はその発生が予測できない故にゲリラの名を冠している。

「だからって帰宅中に降ることねーだろ!!」


豪雨に打たれながら清次は自らの今日の不運を恨むことしかできなかった。

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