表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰村家の喧騒  作者: 平遥
1/17

灰村家の日常

ここ、灰村家は何の変哲もない普通の家族である。

別に家族の誰かが血が繋がってないなんて事はないし、ましてや変に極端な怠け癖があったり、何でも切ることが出来る鋏を所持して気が触れたりなんかしていない一般家庭だ。

ただ1つ、常に明るく騒がしいということを除けば。

・・・・・・

この家、灰村家の弟、灰村 りょうは生意気という表現がぴったりである。傲慢にして我が儘、この世の全てが自分を中心に廻っていると考えている節さえある。

「おい、てめぇなにやってやがる?」

灰村家の長兄である清次きよつぐは詰問のようにしつつ自分の部屋の中のソレ(、 、)に視線を向ける。

「え?ポテトチップス食べながら本読んでんだけど……。失明でもした?」

「そうじゃねーよ!何で人の部屋でポテトチップス食べながら本読んでんだって聞いてんだよ!」

「イヤほら、兄のものは弟のものでしょ?」

「いや、その理屈はおかしい!何をいけしゃあしゃあとこのヤロウ!」


わが弟ながらなんて傲慢な男!


「取りあえず俺の部屋から出ていけ。」

「えー、だって俺の部屋暑いし。」

「出・て・け!」

「だって考えてみて。弟のピンチに際して助けるのが兄ってもんじゃないの?」

「一瞬納得しそうになったけどそれほどのピンチでもねーよな!?」

「もー五月蝿いな。分かったわ、しゃーないで出てったるわ。」

「恩着せがましいな、オイ!」

・・・・・・

「ったく、亮のやつ。我が物顔でくつろぎやがって。」


ようやく落ち着いたのでさて、課題でもしようかと机に向かった瞬間……。

「痛゛ッッ!?」

頭に痛みが走った。

「良しっ!」

頭に当たったのは消ゴムだった。しかも俺の。

そして人に消ゴムを当てて喜んでんのは、当然の事だが亮である。

「よーし、喧嘩だぁー!」

「あ、待って。」

「あん?何だよ?」

「はい、どいてどいて。」

言いながら亮は押しのけながら部屋の中に入ってきて。

「じゃ、借りてくで。」

「まて、コラ!」

棚からマンガをドッサリ持っていこうとしやがった!

「えー、何?貸してくれてもいいじゃん。」

「あぁ、貸すのはいいよ。それくらいやぶさかじゃぁない。」

「じゃ、借りてくでね。」

「だけどお前返さないし、しかも帯を取……って聞けよ!」

既にそこに亮の姿はなかった。

・・・・・・

「あ゛ー、しんどっ!」

くそぅ、古典担当の森上先生め!こんな複雑怪奇な課題を出しやがって!ってか熊みたいな体格の生徒指導担当って何だよ!天職か!


「Hey,my brother!」

「どうした?ここは日本だ。」

「ノリが悪い!?」

「忙しんだよ。構ってられっか。」

「兄さん、非道い……。」

「弟、ウザい……。」

「いや、何言ってんのかちょっと……?」

「うぜぇ!」

「何だかんだ言いながら構ってくれる素敵。」

「……そうかい。」


なんとも言えねぇ。


「で?お前わざわざ何しに来たの?」

「え?多量の課題に苦しんでる兄さんに嫌がらせをしに来たんだけど?」

「シバかれるぞお前!」

「まぁ、冗談だけど。」

「じゃあ何の用だ?用がないなら出てけ。用が有るならさっさと言え。金以外なら話を聞いてやる。金なら良いヤミ金を紹介してやろう!」

「……普通に勉強教えてもらいたいだけなんだけどなぁ。」

「……いや、それは、すまん。」

「ってかヤミ金って何?業者知ってるの?」

「そこは深く突っ込むなよ!」

あぁもうめんどくさい奴!

・・・・・・

こんな感じで喧しく騒がしく灰村家の1日は過ぎていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ