嫁をこの手に!
彼女を迎えに行くために、俺は前日から出発した。
電車を乗り継ぎ、息も凍るような寒空の下、ひたすらに歩く。
念のために、財布の中身を確認。うむ、軍資金はばっちり。
これだけあれば、きっと彼女を迎え入れる事ができるはず。
そういえば、服装もチェックしないと。第一印象は大事だもんな、うん。
風呂は入ってきたから変な臭いはしない。服もちゃんと新しいのを着てきた。
まあでも、彼女はそんなところもひっくるめて、俺を受け入れてくれるだろうけど。
それにしても、今日は特別寒いな。もう少し厚着してくればよかったぜ。
これだったら、前日からじゃなくて始発でくればよかったかもしれん。
いや、でもそんな事をしてもし迎えに行くのが遅れてしまったら……。
やっぱり、万全を期すためには前日から行った方がいいよな。
後悔しそうな自分に、そんな風にして言い聞かせる。
だって、超さみぃんだもん。誰かのこぼしたジュースとか凍ってるし。
そんな俺に、更なる苦難が遅いかかる。うぉぉ、今さらながら腹の具合が……。
トトトト、トイレに行きたい。とても、トイレに行きたい……。
だが、耐えろ。耐えるんだ。
バイトをいくつも掛け持ちして軍資金をためてきたのは何のためだ。
全ては彼女を迎え入れ、満足してもらうため。
今こうしてこの場所で待っているのは何のためだ。
全ては彼女と一緒になって、幸せな時間を過ごすため。
さぁ、もう少しだ。もう少しで…………。
そうして、その時はやってきた。俺は全神経を集中させ、歩き出す。
「背筋をのばして、胸を張ってください! これからお嫁さんを迎えに行くんでしょう?」
「あぁ、その通りだ!」
スタッフの言葉に背中を押され、俺はビッグサイトの中へと殴りこむ。
俺は、最高の嫁達を入れて見せる!
コミケ名言集を見た瞬間、ふと浮かんで書いてしまった。後悔はしていない!