初狩
うー。怖いよ。
私のこと綾小路星羅は現在、始まりの森を探索中だ。
横宮一に再開して以来まだどんな獲物ともあっていない。
って書くとなんだかはじめが獲物みたいだな。
「何かいるぞ。」
私の後ろをついてきていたはじめが足を止めて言う。
「何?お化け?」
「いやそれはないだろ。」
「じゃあ一つ目小僧……。」
「それはお化けという分類じゃないのか。」
「かさじぞう……。」
「お化けですらねえし!もういい。モストーだろ。多分。俺がやる。貸せ。」
はじめに剣と防具をとられ木に潜んでいると、茂みから目が×になっているまんまイノシシが出てきた。
「せーの。」
はじめはそれを上から刺す。
血が流れることもなく、倒れる。
そして後にはと赤いルビーのようなものが五個落ちていた。
「登録番号31番。横宮一。第一クエストクリア。そのルビーはこの世界のお金です。モンスターのレベルが上がるにつれ、ルビーの数が増えていきます。ちなみに神が面倒くさがったので、お金はゲームのようにはならないので、きちんと管理してください。」
モンスターが消えると同時にスマホから機械音のような声が流れる。
この声は神様の愛用ペット『レオン』の声だったのだが、書かなくてもいいだろう。
「これが、お金。」
はじめはよしとルビーを掲げ、
「ルビー、とったどー。」
と叫んだ。
「横宮君、すごい。」
私はぱちぱちと拍手する。
はじめはハハハと苦笑いをする
俺が剣を使えたのは、中二のころから
「行け。はじめスプラッシュ。」
とかやっていたからなんだけどな……。
「綾小路もやってみろよ。」
「ふぇ?私が。」
私は剣を返してもらいかまえる。
その時だった。
後ろから飛び出してくるものがあった。
とっさに飛びのき、攻撃を開始する。
一回、二回、三回。
攻撃したところでそいつは倒れた。
あれ、よく見るとモストーじゃないし。
「これってコドンじゃないか。」
はじめが倒れた牛のような動物を見て言う。
「コドン?」
「ああ31村の奴が、俺はこんなのをたおしたんだぜって自慢ばっかりしてきてさ。そんなかにこんな奴も交じっていたんだよ。ああ思い返しただけで鬱陶しい。俺は邪眼の伯爵だぞ。お前たちのような……。」
はじめはまだ続けていたが気にせず、倒れたコドンを見る。
やった。初めて狩ったよ。
沼代のみんな。警察ごっこしていてよかったよ。
こんなところで役に立った。
警察ごっこ。私はそう呼んでいるが正式名称は別にある。
トランシーバーと水鉄砲で、
「こちら本部。連絡どうぞ。」
「こちらZ地点から。犯人は未だ逃走中。いましたα地点に逃走中。」
というゲームをやっていたのだ。
今思い返すと結構恥ずかしいな。
私が思い出にふけていると、
「登録番号32番。第一クエストクリア。」
なんて声がスマホから聞こえた。
おおー。
なんて感激。
「とりあえず狩れたことだし戻るか。」
はじめは来た道を戻ろうとして立ち止った。
やべえ。31村の奴怒らせたまま出てきてしまった。
俺は膝をついて頭を下げる。
「どうか32村に置いてください。綾小路様。」
「邪気眼で……。」
「どこまでもお供します!」
はじめは頭を下げた。
みっともないとは思わないのだろうか。
でも、ラッキー♪これではじめを思う存分使える♪
なんて考えながら私はモストーとコドンの死体を運ばせ、32村に帰ったのでした。