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生徒会  作者: 久方光
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副会長

副会長の話を見てみよう。



《怜の視点》

「私、やります。」

 副会長選挙。会長はスッと手を挙げた人がいてすぐ決まった。

 これは例外。いつも決まらない。いつも委員長と兼任はダメと言われているが今回は先生からの許しが出たので私はいつものが嫌だったので即座に手を挙げた。

 周りからは拍手のみが送られる。

 心ない拍手など貰ってもただ騒々しいだけなのに。

 先ほど会長が決まった時はなにか言ってる奴がいたが私には拍手だけだ。

 まぁ手を挙げたからには全力を尽くすのみ。


 それから選挙運動の二週間は各教室で演説をした。もう一人の副会長候補も内容は良かったが暗記が足りなかった。

 この二週間で暗記して選挙演説に望んだのは私一人……じゃなかった。私のクラスの会長候補も暗記していたな。なんでも会長当選確実と言われているらしい。確かに私のクラスの会長立候補者は由香だったはず。まぁ、由香も凄いが対立候補も負けてはいない。今から決めつけるなんておかしいと思う。

 でも結果を言ってしまえば私のクラスの二連勝な訳だし、何とも言えないな。

 これから由香と一緒生徒会か……


 私は対人スキルをあまり持っていない。目上の人とかなら出来るが普通の話は苦手だ。その原因たるものはわたしに友達がいないと言う事が挙げられるだろう。言っておくが一年の頃はいたよ。

 でも何故かみんな口を揃えて「もう怜ちゃんの隣は耐えられない。ごめんね……」とか言って、友達は去っていった。気づいたら誰も居なくなっていた。

 でも、私は問題ないと思っている。

 家ではおばあちゃんの介護をしながらお母さんの内職の手伝いをしている。

その事もあってたのしみにしてたけど部活は結局帰宅部を選んだ。後悔はしていない。最後は自分で決めた事だから。部活はしない。そう決めたから。

 家では父が職探し、母は内職で私の家族はギリギリの生活をしている。

 父がリストラされたのがその原因。

 おっちょこちょいな父が上司のスーツにお茶をこぼしてしまったらしい。

 たったそれだけで。それで私達家族は厳しい生活を強いられたのだ。

 だから私はよく勉強して早く高校へ行き手に職をつけたいと思っている。

 学校では一人、家では仕事の毎日で私は多忙な毎日を過ごしていた。

 その中で友達を作ろうなんて努力は全くしなかった。無駄な努力だと思うからだ。

 学校ではやる事を言われたとおりにこなす。

 それさえしっかりしていれば、楽に過ごせた。

突然人に話しかけられるとどう接して良いのか分からず緊張して何も言えなくなる事は何度もあったが、黙っていればやり過ごせた。

そうした態度を取っているうちに周りの人は私が「怒っている」とでも思ったのか、触らぬ神にたたりなしと言った様子で近づいてくる人はパタリと止んでいった。

 そんな中で、唯一由香だけが私の事を見ていた。

実際、表だって私に被害はなかったが、やはり時折人と話したくなる時は私にだってあった。

 そんな時、まるで私の心を読んだかのように由香は私に話しかけてきた。

由香からしたらクラスメートがあまりに人と話さなくて気になっていた、位の気持ちだったのだろう。

 内容はほんとにたわいもない事。それでも由香に話しかけられて、私は孤独になりすぎる事も、寂しさを感じる事も、特になく過ごしていた。 

 正直、私にはないものを持ってる由香の事が羨ましいと思った事もあった。

 そんな自分に劣等感を感じる事も少なくはなかった。

 だが、私は物事をはっきり言える自分が嫌いではなかった。

 いや、物事ははっきり意見を言った方が良いと思っている。

 でもだからといって、相手の意見を完膚無きまでに打ちのめしたいとかそう言う訳ではない。でも、そう取られがちだ。

 私ははっきり思っている事を伝えるし相手が言われたくない事も言っている。でもそれは相手を傷つける為に言っている訳ではない。

 私のこの理論を理解してくれた人は今まで誰も居ない。

 だから、クラスの中では「思いやりがない人間」とか言われているだろうとは思う。

 本当は違うけど、そんなこと今更言うなんて格好悪い。


 と、まぁ前から少し由香とは縁があった訳だ。

まさか一緒に生徒会をする事になるとは思わなかったが。

とりあえず、当選したのは私と由香だった。

こうして由香と何かする時が来るとは本当に思っても見なかった。

楽しみ半分不安半分と言った所かな。


 役員選挙も終わり、初めの集まりの時に残りのメンバーも発表された。

三年生の裕志先輩と一年生の琴音ちゃんの一年生三年生一人づつ加わってようやく本格始動だった。

初回の集まりでは翌日までに目標を考えてくるという宿題が出され、解散した。

初めはきちんとしなければ行けないと思い家でしっかり考えて来ようと思った。


自宅。

鞄を置き即座に椅子に座り各教科の宿題を早々に終わらせ生徒会の宿題に取りかかった。


まずは私がどういう学校にしたいか。と言うものが大事だよな。

何事も強い根拠がないとその上に立つものは揺らいでしまう。

「根拠……根拠……!」

何か閃いた怜は机の横に置いてあった鞄に手を伸ばした。取り出したのは一枚の紙。

「私には公約があった。これがなきゃ始まらないのすっかり忘れてたわ。」

とは言いつつ怜は公約を暗記している。

怜の副会長になる時宣言した公約は三つ。

・この学校の学力を上げてみせる。

・全校の皆さんに分かり易い活動をする。

・この学校をより活気のある学校にする。

一つ一つに怜は自分なりの理由がある。

一つ目の「学力向上」については怜が立候補した最大の理由と言っても良いかも知れない。この学校は定期テストの各学年上位十位まで点数と名前、そしてクラスを張り出すようになっている。

依然、歴代の得点を聞いた怜は今の現状を早急に変えなければならないと思っていた。ちなみに現在この学校の最高得点は平均して八十点台。しかも二位以下は七十点台も少なくない。幸い二年生は九十点台で競い合っている二人がいるからあまり下がらないのだが。

とにかく、この「学力向上」に関しては早急に解決しなければ行けない事だった。

何せ次の後期中間テストが後一ヶ月後までに迫ってきているのだ。

次に「分かり易い活動」だが、これは今までの生徒会活動を見てきて「具体的にどうなる事が目標」で、「生徒側はどういう事をすればいいのか」が明確ではなかったと思う。

例えば挨拶運動ならば、ただ役員が挨拶をして回るのではなく「相手に聞こえる声ではっきり挨拶しましょう」とか言った方が生徒側としては助かるのではないだろうか。

挨拶とはすればいいと言うものではない。何でそれをするのか。目的は何か。と自分で聞いて物事の本質を見極めそこを強調する事で、ぼんやりしたものをそのまま皆に伝える時に比べ、より良い結果をもたらすことが出来ると私は思っている。

最後に「活気」の点だが、これは言っておきながら何だがあまり必要無いように思う。

と言うのも、十分生徒が明るいからだ。休み時間が騒がしいのは日常だし暇さえあれば話をしている。

それでも私が公約に取り入れたのは、普段の明るさではなく、話し合いの場での活気。ようは活発な意見交流、もとい活発な意見の出し合いがまだ足りないと感じたからだ。

私の意見に反論がないようにな。

さて。これらを上手く伝えるにはどんな意見を出せばよいのか……


 翌日。

朝、準備していると由香がこっちに来た。心なしか喧噪が増した気がする。

「昨日の目標、考えてきた?」

 何でそんな当たり前な事を聞くのだろう。

もしかして考えて来ないとか思っているのだろうか?

等と思ったりしたが、緊張の末、紡いだ言葉は

「はい。」

 この一言だけだった。用件には答えてるし問題はないはずだ。

 由香は何故かにこやかになり「そっか。だよね。」と呟いて自分の所へ戻った。

 由香という人物はいまいちよく分からない。

 私と話してくれるという点で気遣いが出来る人間だという事は分かるのだけれど。なんというか、本心をさらけ出さないというか、周りに信じさせる割には自分は周りを信じていないというか。正直何を考えているのかさっぱりだ。自分が無いように見える。

 だからいちいち行動を深く考えても無駄なのかも知れない。

 今回聞きに来たのも、由香なりの理由があって。と言う事にしておこう。

 第一回話し合いは昼休みだったな。

 話し合いと言えば今回の生徒会はどんなかね。

 初めての所だからといって、相手の様子を見る気はないが、果たしてあの由香は仕切れるのかね。

 また、私一人が意見を言って話し合いにならないのではないだろうか。

 期待は薄れてゆく。

 反論じゃないにしろ、何かしらの声は出るのか。

 唯一先輩である、裕志先輩はどんな話をしてくれるのか。

今から楽しみだ。


 昼休み。

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