会長
読む順番は貴方が決めて大丈夫です。
順番に読んでもらうのが一番ですが……。
会長の話を見てみよう。
《由香の視点》
「みんなありがとう。私、がんばるよ!」
クラスメイトからの拍手。みんなは笑顔だ。
その笑顔、見た事ある。『応援してるよ』の笑顔じゃない。
『自分が会長なんてやらなくて済んで良かった。自分じゃなくて良かった』っていう顔だ。みんな「由香ならやれるよ!」と言ってくれるがそれは『由香で良かった』とも取れる。
それが本心なのか嘘なのかは別にしろ、私はそう思ってしまう。
前、友達に相談したら「ネガティブに考えすぎだよ。」と言ってくれた。
でも人は嘘をつく。
その友達も結局裏では『由香って被害妄想激しいから気をつけな』って言ってたし。
私はいつからこんなにマイナス思考になったのか分からない。
けど気がついたら周りの表情ばっかり伺って自分の意見を持たなくなった。
周りからの視線だけ気にして誰が取っても傷つかないように言葉を出していた。
そんな自分が私は嫌いだ。
でも、私が本心を話せる人なんかいない。
それでも私は独りぼっちなんかじゃないよ。友達は沢山いる。
今回会長に立候補した時もそうだった。
毎回役員選挙は誰もやりたがらない。
自分を犠牲にしてまで全校生徒の力になろうなんて考えないからだ。
学級で一人出す事になっている。
毎回先生が叱って一人出ていた。
そんな暗い雰囲気になるのはもう嫌だった。
だから今回
私は初めに手を挙げた。
でも、会長に立候補したのはそれだけが理由じゃない。
いつも自分を持たない私なら、全校生徒のために全力で取り組めるんじゃないかと思ったからだ。
あともう一つ理由がある。
私はこの学校は好きだったけど、雰囲気は苦手だったからだ。
私の中学校は築百年を超えていて、木造建築で出来ている。修理の跡などが目立つがそれもなんか趣があって良いと思う。
でも生徒はお互い腹の底を探り合うような雰囲気で、決して本心は喋らない人が多かった。私もその一人。
その理由は噂や陰口にある。
この学校は何かと噂が絶えない。
どこで誰が見ているか分からないのだ。
仲が良い所にいる人は分からないかも知れないけど、その雰囲気は耐えられない。
かといって私の学校は仲が悪い方ではない。逆に仲が良い様に見えると思う。
みんな表面上では仲が良い。学年関係なく。
だから余計怖い。
仲が良いと思っている人が本当に仲が良いのか、嘘なのか。
私は分からないからみんなに距離置いて接してきた。
それを変えたいと思った。
みんなが心から笑い合って陰口なんか無くなる学校にしたかった。
それが理由。
そして選挙の結果、私は見事会長に当選した。
これは予想の範囲内。実質この学校の選挙は「どちらの方が会長にふさわしいか」ではなく、『どちらの方が人気があるか』の投票なのだ。
私の相手は真面目だけど他の意見は聞かず自分一直線な人だったから前から悪口の的になっている人だった。そんな人にいつもみんなのご機嫌取りをしてる私は負けるはずがないと言えばその通りだった。
いつもの、もはや癖がここに来て役に立ったという事だ。人生やっておいて損な事はないらしい。
続いて副会長。私の学校は会長と副会長のみ選挙でその二人の力量を先生が勝手に計り他学年から2名入れるのだ。二人で十分と判断され2名入らなかった時もあるらしい。
どんな人か当選した今だと余計気になるな。
あ、話がずれたね。
で、副会長なんだがこれは僅差だった。自己中少女(春日)とロボット(怜)だったから。
自己中少女は聞いたら分かるだろう。世界は自分中心に回ってると思っているお姫様のような性格の人。
そしてロボットとは言われた事を忠実にこなし、無表情で他人に無関心。誰かが話しかけても無視をするらしい。でも自分の言いたい事ははっきり言う。
ロボットの(怜)とは前に一度面識があった。去年の文化祭実行委員の時だ。
私も怜もスポットライト実行委員で私がなかなか扱いが覚えられないのを教えてくれた。そんなに話した訳ではないけど。
だから(怜)はロボットなんかではないと私は思っている。
時々自分から話しかけたりもしている。
でも、自分の思った事を何でもすぐ言うので少し苦手意識があった。
副会長の発表。
当選したのは(怜)だった。
この時、なんか大変そうだなぁ。これから。
と思ったのを良く覚えている。
その当選発表は私が「これから頑張ります」と言って終了した。
翌日、初めての生徒会役員が全員集まって会議が行われた。
私と怜以外の役員とは初対面だ。
今回の役員は一年生と三年生から一人ずつ、二年生からは私と怜の二人の計四名で構成される事になった。
一年生の子は控えめな女の子で名前は琴音。勉強はいつも学年上位だからかなり頭良い。
先生達は多分この子に役員という経験をさせてもっと積極的にさせたいんだろう。実際さっき自己紹介する時も緊張して俯いて全然声聞こえなかったし。
三年生の先輩は明るくて元気な裕志先輩。この役員の中で唯一の男子生徒だ。この先輩はさっきの一年生とは正反対で学年の上位がのってる表に名前を見た事がないけど、いつもクラスの中心にいて、明るくて親しみやすい人だった。学校の人気者って言っても良いかも知れない。本来なら役員なんかやらないような先輩だった。いっつも「だりぃー」が口癖みたいな先輩だから。でも役員なのは多分あまりにも成績が悪くて内申点がまずいんだと思う。裕志先輩の行きたい学校は今のままだとかなりヤバイらしいし。学力向上と共にそう言った所でも上げていかないといけないくらい……。まぁ噂だけど。
元気だ、と言う点は間違いない。自己紹介で一人だけ大きな声で元気だったから。
ひとまずこれで今期生徒会役員は全員。このメンバーを見ると私と怜はかなり先生達からの評価は高かったと予想出来る。取り合えずテストとかの点だけは二人とも良いし。
うちの先生はちゃんとその人見て評価なんてしていない。
テストの点が良ければ良い子。悪ければ悪い子。
そんなんだから生徒に敵対視されるんだ。実際先生は噂とか悪口とか知ってるのに何も言ってこない。生徒に無関心なんだ。
そんな中で裕志先輩の担任はうちの先生で唯一ちゃんと見てくれる先生。
だから裕志先輩の内失点なんか気遣ってくれるし、先輩のクラスは笑いが絶えない。
そんな先生もいる。
初顔合わせは自己紹介だけで終わった。次回集まるのは明日の昼休み。今期生徒会の目標を決めるらしい。各自家で考えて持ち寄る事になった。
帰宅————
「今日は疲れたー」
私は制服も脱がずにベッドに倒れ込んだ。
これからの生徒会の事。どうしていくのが最善なのか。どうしたら私の思い描く理想に近づける事が出来るのか。
明日の会議で怜は考えてくるとして琴音ちゃんと裕志先輩が考えて来なかった時の事も予想して、案を二つ三つ用意しよう。
それから私は机に向い、考え始めた。
次の日、私は朝怜に話しかけた。
周りからは「勇気あるー」とか「流石会長!」とか言われたけど心の中で(業務内容だから。)と言っていた。
実際たいした用事ではなく、「昨日の目標、考えてきた?」「はい。」というホントにそれだけだったので周りは「そんだけかよ~」とか「そんな内容か。」と言っていて。
よくそんなたいしたことない事で盛り上がったり下がったり出来るものだ。
それに対して「やめてよー!」とか「そんな内容でゴメンね?」とか言ってる自分がやっぱり一番腹立つけど。
そんなこんなで昼休み。




