嫌い、嫌い、好き、大好き
よくあるお話で短いですが
精一杯頑張りました。
太陽が見えなくても暑い。
夏ほどではないけれど暑い。
雨でじめじめ。
梅雨なんて嫌い。
私はふと外を見た。
雨が窓に強く叩きつけられている。
『雨は神様の涙』
誰かが言ってた。
ああ、それなら今は、
「まるで私の気持ちみたいだね。」
冷たくて、暑い、誰もいないこの部屋で呟くの。
意味なかったとしても、意味があるんだって思いたいから。
雨、湿気の多さ、曇り、暑い。
私の心を丸写し。
もしかして神様も失恋したのでしょうか。
なんてね。神様は全知全能、そんな惨めで滑稽ではないのでしょう。
私も、そんな失恋なんて大袈裟じゃない。
私がかわいそうなだけ。
目を瞑るとあの時の君の笑顔。
その度、私の心臓やら指やらがきゅっと締め付けられる。
大袈裟だって、思うかもしれないけど
苦しくて、恥ずかしくて、顔が歪む。
どうしてこうなったんだろう。
私がそんな気持ちになる、三時間も前の話。
「あっ!おーい!」
私はあの人の通ってる学校のフェンスからグラウンドに向かって手を振る。
「おー!どしたの?」
私の目的は彼氏。
彼とは小学3年にクラスが同じになったの。
その時、私は
『女子はオシャレ』
『女子はジャニーズが好き』
などといった『女子は』というのが嫌いで
男子と遊んでた方が楽しかったんだ。
嫉妬だとかみんなでお揃いだとか
そんなこと思ったことなんて全くなかった。
初恋も小3の時で、初恋の子と今の彼氏と三人でよく遊んでて、
楽しくて、嬉しくて。
でも初恋の子が転校しちゃって、
私はすぐに今の彼氏が好きになって。
彼の家とか私の家とか遊園地とか
男女の間を気にせず何処へでも行った。
でも彼も私も奥手だから
小6の始め、私が告白したの。
好きって言ってくれて、付き合って、今になったのだけれど。
私はどんどん“女”になって
彼はどんどん“男”になった。
中学が離れて、親友が彼氏と付き合ってた、
という噂を聞いて不安になった。
とられるかもって、浮気されるかもって。
独占欲が大きくなって。
だから学校に行ったんだ。
「おー!どしたの?」
「一緒に帰ろ?」
「んー、いいよ。待ってて。」
彼は更衣室に行った。
私は更衣室に近いフェンスに移った。
外部の者は入れないから。
「まだかな。」
他の人がじろじろと見てくるから恥ずかしくて、下を向いた。
いや、下向こうとして、視界の端にあの人が見えて。
すぐにピントをあわせて。
可愛い誰かが彼にくっついてんだ。
彼の表情は見えないけど
きっと嬉しそうなんだろうね。
今まで君は他の女の子に振り向きもしなかったくせに。
恥ずかしくて、腹が立って。
携帯開いてメールを打った。
『先帰る。』
離れた。
走って、早く帰りたくて。
雨が降ってきたから、持ってた傘を差して。
走った。
家につくのは案外早かった。
あそこの学校は私達が通ってた小学校と隣。
こっちの方向は友達の家はない。
だから帰り道はいつも一人。今も一人。
開いた傘は閉じれない。
手が震えて。
「なんなのよ、わかってた、ことじゃないの。」
いつか・・・・
私達は別れるかもしれないって。
涙が出た。
泣いたのは一昨日ぶり。
戦争中に死んじゃった彼氏をいつも想ってる彼女の小説で。
「うあっ・・・うっ・・・・」
唇を噛んで、
冷たくて居場所がない手で腕をつねる。
しばらくして、雨が止んだ。
にわか雨だったみたいだけど、どうでもいいの。
晴れないで。
お願いだから、私ごと流して。
私の汚くて醜いところを、どうか、消して。
心なんていらない。
私なんて嫌なやつ。
無駄に二酸化炭素を吐いてるだけ。
どうして私は生きてるの?
笑えない。
泣き止まない。
何分かして頭が冷静になって傘をたたんだ。
宿題しなきゃ。予習しなきゃ。
そんな言葉が頭をよぎる。
今までなんの取り柄もない私には
勉強しかないって思って必死で成績上げてた。
周りより頭良かったし、それが私の存分価値なんだって思いたかった。
だけどね、今の私には、何もできないの。
「家の鍵何処しまったっけ。」
記憶がないフリした。
家に入らない理由を作った。
私のこと、追ってきてくれるのかなぁって心の隅っこで考える。
期待した。
返信来てるかなって携帯を開くと
『わかった』
それだけ?それだけなの?
着信も無い。メール一件。
なんでって聞くとこじゃないの?
デリカシーなさすぎるよ。
何もかもがどうでも良くなって、
鍵を見つけて早く家に入った。
そのままソファーで眠りに落ちた。
それで今に至る。
洗濯物は今日は出してないし
お母さん達も今日はいない。
気が楽だ。
自由だ。
頭がボサボサだから結んでからご飯を作ろうと思って洗面所に向かう
想像通り、ボサボサで醜い私が立ってる。
棒立ち。
感情の無い目。
無表情の顔。
疲れた
辛い
苦しい
気持ち悪い
そんな感情が渦巻く中、ひとつだけ
光ってる感情があった。
好き
あんなに悩んで苦しんでも
あの人が好きなのか。
私はマゾか。
少し笑えた。
『チャラ~ラララ~ララ~』
大きな、ノッポの、ふ、る、ど、け、い。
この音楽は、彼だ。
おそるおそる携帯を開く。
『今 家の前にいるから開けて』
え?
「なんで・・・・っ」
なんで今頃?もう時間は7時になりそう。
なんでインターホン使わないのよ!
そんな疑問のなか、
モニターがある場所に行く。
「はぁ、はぁ、」
なんでこんなに息が切れるの・・・・?
モニターを見る。
居た。
ガチャッ・・・・
「なんで・・・・っ」
「あのさ、俺、」
彼の表情は真剣で、何処か奥で かっこいい と思ったの。
幼い子の文章みたいですけど
気持ちを表すなら途切れ途切れがいいのかな、と思いました。
今回は書きやすそうな恋愛にチャレンジ。
うん、文章ってほんのすこし苦手。
上手く書けるっていいですよね。
彼女と彼氏の名前と最後の彼の話は想像でお願いします。
お前のことしか愛せないーみたいなのはハピエン、
他に好きな子がいるから別れてくれーバトエン
みたいな。
ではありがとうございました。