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第五話:皇帝陛下と婚約者

かなり遅くなりましたが四話を更新しました(>_<) ついに不精髭さんの正体が明らかになります!?

「きゃあー!落ちる落ちる落ちる!?」私は大絶叫を上げた。


「・・・・・あんまり耳元で騒がないでくれ。耳鳴りがする」私の前方に座っている不精髭さんは苦言を漏らした。


だ、だって私が落ちた場所よりも更に高い空を飛んでるんだから恐いに決まってるじゃないですか!?


粥を食べ終えた私を不精髭さんは外に連れ出し待たせていた赤いワイバーン(飛竜)に乗せて魔界の首都、万魔殿に向かった。


初めて乗る私にワイバーンは気を使ってやや低空飛行になった。


「ほぉう。こいつが自分から気を使うとは珍しい」ワイバーンの様子を見た不精髭さんは驚いていた。


ワイバーンは気性が激しく自分の主人の命令しか聞かないはずなのに私を気遣ったのに驚いたようだ。


「あ、ありがとう。ワイバーンさん」背中ごしに私が礼を言うとワイバーンはちらりと振り返り小さく鳴いた。


「女性を大切にするのは男の役目だと?なぁに、色目を使ってるんだよ」私には理解できなかったが不精髭さんにはワイバーンさんの言葉が理解できたようだ。


「言葉が理解できるんですか?」


「まぁ、こいつとは長い付き合いだからな」不精髭さんがワイバーンさんの頭を撫でると気持ち良さそうに鳴いた。


「お、見えてきた」不精髭さんの言葉を聞いて前方を見ると、煌びやかに光り輝く城があった。


うわー綺麗・・・・・・


天界の首都・万神殿にある天真楼に勝る輝きを出していて、悪魔の総本山と言っても誰も信じないだろう。


だけど、それが狙いなんだろう。


悪魔は天使よりも光り輝く美しい姿で、人を欲望の罪に仕向ける。


「相も変わらず無駄に金を使うな・・・・・・・」不精髭さんは、愚痴を言いながらワイバーンさんに城の中庭に降りるように命令した。 


「急降下するから、しっかり掴まってろ」不精髭さんの命令に私は頷き、漆黒の服を着ても分かる広い背中に、すがりついた。  


私が縋りついたのを確認してから、不精髭さんはワイバーンさんの手綱を引いて急降下した。


スピードで急降下したのを肌で感じ一瞬、怖いと感じたが、すがり着いた背中の暖かさが恐怖を緩和してくれた。


「じゃあ、用が済むまで待ってろよ」不精髭さんは、ワイバーンさんの頭を優しく撫でると私を城の中に案内した。


城の中も黄金や宝石で彩色を施されて芸術品の域だ。


前を歩く不精髭さんは、足取りの遅い私の速さに合わせて歩いてくれた。


しばらく歩いていると大きな黒と赤で彩色された扉があった。


「・・・・・ここが王の間だ」怠そうな声を出しながら不精髭さんは扉に手を掛けた。


「魔界にようこそ!天界の姫君っ」不精髭さんが開ける前に、扉が開き三十代の黒髪に金眼の男性が飛び出した。


男性は、前に立っていた不精髭さんに、抱きつき強く抱き締めた。


しかし一瞬、大きく跳ね上ると、ぐったりとした。


「俺の胸にようこそ。ベルゼブル皇帝陛下」不精髭さんの単語に耳を疑う。


えっ?ベルゼブルって、魔界の王様だよね・・・・・・・・・・・・?


「・・・・・俺の、胸にようこそ。飛天」ベルゼブル様は、真っ青な顔で不精髭さんを縋りついた。


「お姫さん、この“馬鹿”がベルゼブル皇帝だ」皇帝陛下を“馬鹿”呼ばわりする貴方は誰ですか?


「おぉ、そちらに立っている女性が姫君か」月のように光る瞳に私は見惚れてしまった。


こんな美しくて、格好いい男性が悪魔で、しかも魔界の王様なんて誰が信じるんだろう・・・・・・・・


どちらかと言えば、民のために、身を費やして民の幸せを願う優しい王様に見えてしまいます。


「・・・・見た目に騙されるな。この外見で、数多くの女を騙したエロ爺だ」いつの間にか、私の隣に立っていた不精髭さんが、耳元で囁いた。      


「失礼な事を言うな。“暴食”は広めたが、“色欲”は広めた覚えはない!」心外だと言うベルゼブル様。


「ふんっ。“色欲”を広めたのは、アスモデウスだが奴は『純情』だから良いんだよ」不精髭さんの反論にベルゼブル様は、ぐうの音も出ない様子。


魔界の王様が、一流とは言え一階級の悪魔に頭が上がらないなんて信じられないです。


「あのぅ、貴方は何者なんですか?」ついに私は、気になっていた事を不精髭さんに尋ねだ。     


「お前、まだ名乗ってないのか?仮にも夫婦になるのに・・・・・・・・」以外そうな表情をするベルゼブル様。


「夫婦?俺と、この姫さんが?」不精髭さんは以外な表情をした。


「結婚したら、万魔殿に与えた屋敷に住むって言ったろ?」ニヤリと笑うベルゼブル様を不精髭さんが真っ向から睨んだ。


な、なんなの?この二人のやり取りは?屋敷があるという事は不精髭さんも貴族の方?


だけど、何で貴族の方が、あんな荒野に住んでるんだろう?


「そういえば、まだこいつの紹介がまだだったね」ベルゼブル様は、恨めしそうに睨む不精髭さんを無視して私を振り替えった。


「こいつは俺の養子で君の夫になる、飛天夜叉王丸男爵だよ」ベルゼブル様の紹介に私は固まった。


・・・・・ひ、飛天夜叉王丸男爵!?


あ、あの、“ウィンド・バロン”って異名の持ち主が!?


私は、傍らで葉巻に火を点けている不精髭さんを凝視した。


い、イメージが・・・・・・・・


私は頭の中でイメージしていた人物像のギャップの違いに、困惑を隠せなかった。


だ、だって、飛天夜叉王丸男爵って言ったら、


たった一人で天界の十二個ある都の四つを滅ぼし、天魔大戦では一個師団を壊滅させ更に、大天使ミカエル様を打ち倒した猛将中の猛将なんです!?


そんな人と結婚するなんて私って、不幸の星の元に生まれたのかしら・・・・・・・・?


「姫さんは俺との結婚を嫌がってるぞ」不精髭さん改めて、夜叉王丸男爵様はベルゼブル様に意見した。


「ま、天界では、極悪人扱いだからな」仕方ないと肩を竦めるベルゼブル様。


「別に極悪人でも構わないが、嫌がってる女と結婚なんて、出来ないな」


「それでは、お前の屋敷に仕えるメイドとしては、どうかな?そちらの方が姫君の性にも合ってるだろ?」悪魔の笑みを浮かべるベルゼブル様に私は凍り付いた。


私の正体を知っている・・・・・・・・


「天界が本当に宮廷の姫君を嫁がせるとは、思えなかったから、少し調べさせてもらったよ」


私は何も言えなかった。


それでは、私が魔界に嫁ぐ意味は、無くなるの?


また戦争が始まるの?


「まぁ、本物でも偽物でも約束は守るから安心して良いよ」私の様子を見て悪魔の笑みから天使の笑みを浮かべるベルゼブル様。


・・・・・信じて良いのかな?


「・・・・・今の言葉は信じても良い。あれでも皇帝だしな」夜叉王丸男爵様が私の頭を優しく撫でた。


その手は、ごつごつしているが、温かく人を落ち着かせる力があった。


この人が極悪人なんて、とても信じられない。


「さすが俺の息子。女には優しいな」私達の様子を見ていたベルゼブル様が、頬笑みながら言った。


「寝言は寝て言え」ボカリとベルゼブル様の頭を殴る夜叉王丸男爵様。


「痛ッ!そんな息子に育てた覚えはないぞ!」憤慨するベルゼブル様。


「お前に育てられた覚えなんて、ない!」口喧嘩からついには、掴み合いに発展した二人。


私は何も出来ずに傍観しているしかなかった。


「今日こそは、俺の前に跪かせてやる!!」城の中なのに、お構い無しとばかりに強力な魔法を発動させるベルゼブル様。


「俺を跪かせられるのは、俺だけだ」腰の刀を抜き放たれた魔法を、切り捨てる夜叉王丸男爵様。


「何をふざけた事を!」更に憤怒したベルゼブル様は、火魔法の中で最大の威力がある、メガフレイムを唱え始めた。


「やばっ」夜叉王丸男爵様は刀を、しまうと私を抱き上げて走り出した。


えっ!!お姫さま抱っこですか?!


「スピード上げるから舌を噛むなよ」更にスピードを上げた。


「待てい!愛の逃避行などしやがって!?」後ろから怒鳴る声と魔法を発動された音が聞こえた。


「・・・・ちょっと近道でもするか」私を抱き上げたまま、三階の窓から飛び降りた。


普通なら落下するのだが、ワイバーンさんが私と男爵様を、背中に乗せたので落下しなかった。


その流れから、何時もの、日常茶飯事なんだと理解した。


「このまま、バラテまで翔べ」ワイバーンさんに命令をすると、やっと私を降ろしてくれた。


「悪いな。巻き込んじまって」男爵様はすまなそうに頭を下げた。


「あっ、い、いいえっ。大丈夫ですから」私は慌てて取り繕う。


「なら、良いんだが」何処となく歯切れが悪く言うと葉巻を取り出して吸い始めた。


「あの、私、どうなるんでしょうか?」二人のケンカで私の事は、どうなったんだろう?


「あの馬鹿の様子だと、どうしても俺を万魔殿に来させたいようだし、お姫さんの事も気に入ってるから、暮らすしかないだろ」これまた歯切れが悪い答えが返ってきた。


「お姫さんも、あんな荒野より華やかな都の方が良いだろ?」左目を動かして尋ねる。


そりゃ、私だって女の子だから、華やかな方が好きだけど・・・・・・・・


「まぁ、今日はバラテに帰るぞ」短く言うと葉巻を大きく吸った。


・・・・・・はぁ、私は、これから、どうなるんでしょうか?       


私は男爵様に聞こえないように小さく息を吐いた。

ふぅー、長かったな。お姫さん?(夜叉王丸)               はい。お疲れさまです。             次は俺との生活だっけ?             はいっ。不束者ですが、よろしくお願い致します。             こちらこそ・・・・・・・・・・・・                   っという訳で、次回もお楽しみに!?

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