第四十話:作戦開始
「・・・・・・主人様、少し宜しいでしょうか?」
暫らく飛天様に膝枕をしているとドアを叩く音がした。
声からするにヨルムさんだ。
「・・・・・・・入れ」
私の膝枕で眠っていたが起きたのか不機嫌な声を出す飛天様。
その不機嫌な声に怯えたのかデュランが犬耳を下げた。
「・・・大丈夫よ。デュラン」
優しくデュランの頭を撫でるとデュランは気持ち良さそうに鳴いた。
「・・・・・・・失礼します」
少し緊張した表情で中に入って来たヨルムさん。
飛天様の機嫌を気にしている様子だった。
「・・・何か用か?」
ギロリと睨む飛天様。
「・・・・・ひ、ひぃ!!お取り込みの所を大変すいませんでした!?」
ヨルムさんは完全に逃げ腰だった。
「謝るのは入らん。何か用かと聞いている。用があるなら早く言え」
「は、はい!!じ、実は恒例の旅行の件です!?」
「旅行?」
聞き慣れない単語に首を傾げる。
「毎年、今頃の時期に軍団の連中を連れて旅行に行くんだよ」
飛天様が説明してくれた。
「・・・ふぅん」
そう言えば私の仕えていた前の主人も家族旅行に出かけてたっけ?
「それで?それがどうした?」
要約、機嫌が直ってきたのか表情が和らいでいく飛天様。
「・・・は、はい。実は、予約していた箱根の旅館が泊まれなくなったのですが・・・・・・・・・・」
「・・・そうか。なら、何処が良いか他の者に聞いてみろ」
「それはもう聞いております」
「・・・で、何処だ?」
「はい。鎌倉か伊豆諸島が良いと」
「分かった。詳しい事はお前らに任せる」
「畏まりました」
一礼するとヨルムさんは逃げるように部屋を出て行った。
よっぽど飛天様が怖かったんだろうな。
「なんだ?俺の顔をジロジロ見て」
「う、ううん。何でもないっ」
慌てて首を振る。
「?まぁ良い。それより旅に出るからお前の衣服も買わないとな」
そう言って外出の準備をする飛天様。
「・・・何してんだ。早く買い物に行くぞ」
「う、うんっ」
私は慌てて準備に取り掛かった。
「・・・ねぇ、デュランも連れて行って良い?」
私の足元ですり寄っているデュランを見ながら飛天様に尋ねる。
「旅行には連れて行かなかったから良いだろ」
あっさりと承諾してくれた飛天様。
「それじゃ、デュランも行こうか?」
デュランは元気よく鳴いた。