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第三十六話:久し振りの再会

久し振りにペイモンが登場です。

「うわー、綺麗な眺めー」


案内された部屋から見える街は綺麗に輝いていて宝石のように見えた。


「お褒めの言葉を頂き感謝いたします」


「何か用がありましたらお呼び下さい」


主人は一礼して部屋から出て私と飛天様だけが残った。


「気に入ったか?この部屋は?」


「うんっ。とっても気に入ったよ」


机に座り煙草に火を点ける飛天様に微笑む。


「それは良かった」


くすりと笑って紫煙を吐く飛天様を見て気付いた。


「あれ?何時もの煙草と違う煙草?」


「ほぉう。よく気付いたな」


少し驚いた表情をする飛天様。


何時も飛天様が吸っている煙草は白かったけど、今は後ろの方が茶色に気付いた。


「何時ものは切らしたから別の愛用している煙草をな」


「ふーん」


煙草の箱に書いてある名前を読んで見る。


「パリ・・・・・・・ジェンヌ?」


「あぁ。お前の名と一字違いだろ?」


くすりと笑う飛天様。


「どういう意味なの?」


「フランスの首都パリに住む煌びやかな女のように優雅に甘美で、それでいて男共を虜にする妖艶さを兼ね備えた煙草だ」


昔を懐かしむような口振りで美味しそうに吸う姿は恐らく過去の女性関係を思い出したのだろうか?


「ねぇ、飛天。私も吸ってみたい?」


飛天様は驚いた口調だった。


「私、生まれてから一度も吸った事ないから吸ってみたい」


「ねぇ?一本だけ。一本だけ?」


何だか渋りそうな勢いだったので拝み倒した。


「はぁ、分かった。一本だけだぞ」


そう言って一本を私に渡してくれた。


「ありがとう。飛天」


一本を口に銜える。


「最初は一気に吸うな。少し吸うだけで良い」


懐から使い古された彫刻の彫られたジッポに火を点けながら私に忠告する飛天様。


火を点けられて吸うと口の中に煙が入って来た。


うわぁ!ま、不味い!?


「うっ、ごほっごほっ!!」


我慢できずに咳き込んで煙草を捨てた。


「大丈夫か?ジャンヌ」


ぽんぽんと私の背中を叩いてくれる飛天様。


「ごほっ、こんな不味いのよく吸えるね?」


「まぁ、慣れとしか言えないな」


苦笑して答える飛天様。


「まっ、これに懲りたら煙草なんか吸うな。お前には似合わん」


「うん。そうする」


痛む咽喉を抑えながら私は頷いた。


「あらあら。煙草を吸いたいなんてジャンヌちゃんも不良ね」


「ッ!!」


この猫撫でるような声は!?


「はぁい。飛天、ジャンヌちゃん」


「ペイモン様!?」


ドアに寄り掛かりながら笑い掛けたのは飛天様の屋敷に住み込みで私の教育係を勤める王族のペイモン様だった。


「なんだ?お前、何しに来やがった?」


飛天様は明らかに嫌そうに表情を歪めた。


「連れないわね。こっちは貴方達を探して足がくたくたよ」


わざとらしそうに飛天様に抱き付くペイモン様。


「だったら、ソファーで寝てろ」


ぽいっ


と物を投げるようにソファーにペイモン様を投げた。


「いたっ!もう少しは優しくしてよ!?」


ペイモン様は頬を膨らませた。


「うるせぇ」


飛天様は怒った口調でペイモン様を見下ろした。


「あのペイモン様。ゼオンさん達を見ませんでしたか?」


空気が悪くなるのを感じ取った私はペイモン様に慌てて尋ねた。


「ゼオン達なら私の荷物を取りに行かせてるわ」


「荷物?」


「えぇ。久し振りに北欧に来たから気に入った物を衝動買いしちゃってね」


「俺の従者だぞ」


「別にいいじゃない。私と貴方の仲でしょ?」


ソファーの上で足を組みながら笑う飛天様。


足を組むとドレスが捲れて太ももまで見えた。


「・・・・ちっ」


飛天様はソッポを向いて舌打ちをした。


「まぁ、あいつらが来るまでお茶でもして待ちましょうよ」


ペイモン様は笑いながらソファーの近くにあったテーブルにティーセットを出した。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


私と飛天様はヴァルハラの茶会を思い出し少し苦笑いを漏らした。





北欧編はもう少し続きます。

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