第三十五話:初めてのプレゼント
何だか手抜きですいません。
ヴァルハラを出た俺とジャンヌ、ゼオン達は下町を散策していた。
まぁ、ジャンヌの豹変振りに驚いたから機嫌取りの為に俺が連れて来たんだけどな。
ジャンヌの豹変振りは驚いた。
最後に浮かべた笑みはペイモンみたいな笑みで背筋が凍る思いだった。
しかし、そんな事を思わせない位に可愛らしい笑みを浮かべながらジャンヌは市場に広がる品々を物色していた。
「ねぇ、飛天。これは何?」
手の平に乗せて見せたのは北欧の神界に咲く花を模った首飾りだった。
「それは春を表す花を模った首飾りだ」
首飾りは豪華過ぎず質素過ぎず品があった。
「ふーん。そうなんだ」
ジャンヌは首飾りをマジマジと見つめていた。
「貸してみな」
ジャンヌから首飾りを取って親父に見せた。
「おい。幾らだ?」
俺は店の親父に値段を尋ねた。
「へぇ。六万ガント(六万円)です」
大した額じゃないな。
「よし。買った」
俺は財布を取り出して数枚の金貨を取り出し親父に渡した。
「へい。毎度あり」
親父は金貨を受け取り得意気に笑った。
「ジャンヌ。これはプレゼントだ」
ジャンヌに無造作に渡した。
これがルシュファー達なら甘い言葉を掛けて女に渡す所だが俺には出来ない。
「ありがとう。飛天」
しかし、ジャンヌはそんな事を気にしていないのか笑顔で俺の首飾りを受け取ってくれた。
「初めてだね。飛天が私にプレゼントをくれたのって」
少し頬を赤くしながらジャンヌが言った。
「そ、そう言えばそうだったな」
何故か俺も赤くなってしまった。
そんな俺とジャンヌをダハーカはニヤニヤ笑いながら見ていた。
『初々しいじゃないか』
『うるせぇな。いいだろ?』
『別に駄目とは言ってないぜ?だが、場所は選べよ』
はっ、として周りを見ると市場の視線が俺とジャンヌに釘付けだった。
「あっ・・・・・・・」
ジャンヌも皆の視線に気付いたのか真っ赤になった。
「そ、そろそろ、宿を探しに行くぞ」
「う、うんっ」
俺とジャンヌは早々と市場を後にした。
くそっ、何て恥ずかしい所を見られちまったんだ!?
市場を後にした俺とジャンヌは馴染みのある老舗の宿に来ていた。
「今日はここに泊まるぞ」
見た目は質素に見えるが北欧の神界の宿屋の中でも一、二を争う位、有名な宿屋だ。
「何だか飛天が好きそうな宿屋ね」
ジャンヌは嫌そうな顔もせずに宿屋を見上げていた。
「さぁ、中に入るぞ」
ジャンヌの手を取り中に入った。
中に入ると気さくな表情をした少し歳を取った主人が迎えてくれた。
「これはこれは男爵様。ようこそ」
主人は俺の顔を見ると笑顔で対応してくれた。
「あぁ。また世話になるけど大丈夫か?」
「はい。男爵様なら予約無しで大歓迎です」
この主人の言葉に嬉しくなる。
突拍子も無くぶらりと旅をする俺は何処に行くも泊まるのもその場で考える。
宿が無い時は一日中、夜の街を歩く時もある。
しかし、今回は女のジャンヌもいるからそんな事は出来ない。
だから主人の言葉が嬉しかった。
「お部屋は男爵様がお気に入りの部屋を空けております」
主人が部屋の鍵を渡した。
「すまない」
礼を言って鍵を受け取りジャンヌを連れ部屋に向かった。
「少し後に俺の従者が来るかも知れないが、放っておいて構わん」
主人に言伝を頼んでおく。
「畏まりました」
主人は快く頷いてくれた。
「さぁ、行くぞ」
ジャンヌの腕を掴むと部屋へと向かった。
もう少し気合いを入れて書きます。