逸話:司令官は時代劇ファン
なんだか夜叉王丸のキャラが壊れていく模様が・・・・・・・・・
「・・・・そんなに包帯を巻く事ないんじゃないか?」
俺は医務室に連れて行かれリュミエールに肩の傷を治療されていた。
「駄目ですっ。傷口から菌が入ったらどうするんですか?!」
包帯を巻きながらリュミエールは俺を睨んだ。
「飛天様はご自分の身体を何だと思っているんですかっ?」
俺の身体は俺の身体だ。
なんて言ったらこれ以上に怒るだろうしなー。
「ちょっと飛天様?どうなんですか?」
「あ、いや。俺の身体は、魔界の民の物、か?」
これなら無難な答えだろ?
「・・・・・・・・・・」
しかし、リュミエールの顔は目付きが吊り上り怒り表情だった。
あれ?だ、駄目だったか?
「・・・・・飛天様」
「は、はっい?」
リュミエールの地から出たような声に俺は逃げ腰になった。
「・・・・・飛天様のお命は・・・・・・・・・・・・・・」
「俺の命は・・・・・・・・?」
「このリュミ・・・・・・・・・・・」
「飛天様っ。手傷を負ったとは本当でございますか!?」
リュミエールが何か言う前に医務室のドアが蹴破られ水色の髪に金と銀と色取り取りの宝石で飾られた二十代後半の美女が入って来た。
「す、スクルドっ」
思わぬ人物に俺は驚いたが棚からぼた餅とはこの事だと思いリュミエールから離れスクルドの腕を掴んだ。
「会いたかったぞ。スクルド」
「え?」
突然の事にスクルドは顔を赤く染めリュミエールは呆然とした。
「爺からお前が俺に用事があるって聞いて探してたんだっ。さぁ、行こう」
「え?ちょ、飛天様」
俺に腕を引かれながらスクルドは抵抗もせずに付いて来た。
「飛天様!!」
後ろからリュミエールの声が聞こえてきたが知った事か!?
やばい時は逃げるが勝ちだ!!
「あの、飛天様っ。止まって下さいっ」
がむしゃらに走っているとスクルドから制止するように言われた。
「はぁはぁはぁ、い、いきなり走り出さないで下さいよっ」
肩で息をしながらスクルドは睨んできた。
「そんなに荒い息を立てるな。まだまだ修行が足りないぞ」
「うっ・・・・・・・・」
「まぁ、それより何か業物を手に入れたんだろ?」
「あっ、はい。井上真改の作なんですが、私には分からなくて・・・・・・・・・・」
井上真改、確か鬼平犯火帳で長谷川平蔵が使った刀だったな。
一回だけ骨董店で見た事があったな?
「分かった。見てみよう」
「ありがとうございますっ」
スクルドは頭を下げると俺を部屋へと案内した。
やれやれ。早い所、厄介事は片付けてジャンヌの所に帰ろう。
俺の本心など知らずにスクルドは嬉しそうに部屋へと嬉しそうに歩いていく後姿を俺は逃げる為にスクルドを利用した罪悪感を抱きながら後を付いて行った。
はぁ、何で俺がこんな目に遭うんだよ?
俺はジャンヌと新婚旅行に来ただけだぞっ。
すいませんっ。兎に角すいませんっ。
へたれですいませんっ。




