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第二十九話:一足遅く

従者達の心境を書いてみました!

「主人!」


「主人様!!」


「旦那!?」


ヴァルハラに到着した二人と一匹はストームから飛び降りるとフェンリルの鼻を頼りにオーディンの部屋に飛び込んだ。


「うおっ!!」


「はっ!!」


「うっ?!」


二人と一匹が入ると同時に漆黒の刃が跳んで来て辛うじて避ける二人と一匹。


「・・・・・なんだ。餓鬼どもか」


同田貫を肩に掛けてダハーカは不機嫌そうに床に尻餅をしているゼオン達を睨んだ。


「「「ダハーカ!?何をするんだ?!」」」二人と一匹がはもった。


「お前らがいきなり入って来るのが悪い」


しれっと答えながらダハーカはジョーカーを取り出して口に銜えた。


「主人は?」ぶすっとした表情で尋ねるフェンリル。


「お前の鼻は飾りか?」嘲笑するダハーカ。


「っんだと?!」フェンリルは毛を逆立たせてダハーカを睨むフェンリル。


「この胸糞悪い臭いが分からないのか?」


ジョーカーに火を点けギロリと睨み返すダハーカ。


「この臭いは・・・・・・・・・・!!」鼻を嗅いで表情を強張らせるフェンリル。


「アポロの若造が来て飛天に勝負を挑んだ」紫煙を吐きながら忌々しそうに答えるダハーカ。


「旦那は?」


幾分に落ち着いた口調で尋ねるゼオン。


「ジャンヌちゃんを俺に預けて出て行った」


「あのエセ野郎、性懲りもなく旦那に挑みとは」


舌打ちをして刀の柄を握るゼオン。


「飛天を成り上がり者と言いやがって・・・・・・あの餓鬼」


指で挟んでいたジョーカーを握り潰すダハーカ。


「・・・・・ほう、随分と騒がしいと思ったらフェンリルにヨルムンガルドではないか」


背後を見ると車椅子に乗ったオーディンがいた。


皆はちらりとオーディンを見た。


「どうやら何者かが来たようだな」


部屋の気を瞬時に感じ取り眉を顰めるオーディン。


「あぁ。オリュポス十二神のアポローンだ」


「あの若造か。・・・・・・・・っという事は飛天が目当てか」


白い髭を撫でながら車椅子を自動的に動かすオーディン。


「流石は主神。察しが良いですね」


ヨルムンガルドが冷めた反応をする。


「何しに来やがった?くそ爺。また食い殺すぞ?」


フェンリルは苛ただしい声を上げた。


「そう怒るな。主人を心配するのは良いが寝ている娘が起きるぞ」


オーディンに言われフェンリル達はジャンヌが眠っている事に気が付いた。


「飛天なら心配ない。あの若造に負ける程、主らの主人は弱くないだろ?」


「仮にも息子のヴィザースをあそこまで追い詰めた男だ。若造如きに負ける訳がない」


「なに?追い詰めた?」フェンリルとヨルムンガルドは眉を顰めた。


「知らないのか?あの男は主とヨルムンガルドを殺しに来たのを追い返したのだぞ」


「人間の時の話だろ?」


「いいや。飛天が悪魔になって数千歳の時にもあ奴と飛天は戦った」


「そんな話は聞いてないぞ?」


「あ奴が喋らなかっただけであろう。主らに要らぬ心配を掛けたくなかったのだ」


「・・・・・あの方らしいな」ヨルムンガルドが俯きながら言った。


「あぁ。旦那らしいぜ。俺達に危険が及ぶ事は全て自分が背負い込んで俺達を護る」


「そんな主人だからこそ主らは好きなのだろ?」


「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」従者一同は無言で頷いた。


「ならば、飛天を待て」


「言われるまでもない。主人を待つ」


「ふぉふぉふぉ。頼もしい言葉じゃな。ではわしも待つかの」


指を鳴らしティーカップセットを出すオーディン。


「わしは茶でも飲みながら待つとするか」


カップにコーヒーを入れながら笑うオーディン。


「おい。ヨルム。俺達も茶の準備だ」ダハーカが命令する。


「そうですね。主人の魔術が解けた時に奥様が戸惑ってしまいます」


ヨルムンガルドが直ぐに頷きティーカップセットを出した。


「ふぉふぉふぉ、それでこそ飛天の従者だ」


可笑しそうに笑いながらオーディンはカップに注いだ紅茶を口にした。


老人姿の主神と気を研ぎ澄ませながら茶を飲む数人の男たちの中でジャンヌは静かに寝息を立てて眠っていた。

夜叉王丸が好かれて羨ましいです!?

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