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逸話:大丈夫

ダハーカの独り言と夜叉王丸の過去の話です。

飛天とクソ神が出て行くのを確認して俺は人型になった。


・・・・・あのクソ神が飛天の事を成り上がり者と言いやがって・・・・・・・・・・・


思わずあの場で奴を食い殺してやりたかった。


確かに飛天は人間出身の成り上がりだ。


しかし、それを言うなら他の神々の奴らはどうなんだ?


飛天以外にも成り上がり者は居る。


あいつは俺が知る限り半端じゃない苦労と悲しみを胸に生きてきた。


世界中の不幸を胸に生きてきたと言っても過言ではない。


その位、あいつは茨の道を歩んできたんだ。


そして、あの惨劇・・・・・・・・・・


あの惨劇さえなければ飛天は幸せな人生を送れた。


あの惨劇がなければ飛天は悪魔になる事もなかったんだ。


しかし、起きてしまった。


飛天は自分の無力と世の中の全てに絶望と怒りを胸に地獄に堕ち悪魔になった。


悪魔になってからも血の滲む苦労を重ねてあいつは魔界史上初の戦果と神界からスカウトの声を手に入れたんだ。


その時、俺は思った。


嗚呼、これで飛天も幸せになれる。


これで過去の苦労が報われると・・・・・・・・・


しかし、あいつは断った。


何故だ?全知全能の神に成れるのに何でならない?


飛天なら立派な神になれるのに何で断った。


神になるのを断った日の夜に詰め寄った俺にあいつは


『俺が神になったらお前らはどうなるんだ?お前らは俺の家族だ。見捨てられるかよ』


・・・・・・・正直、家族と言われて不覚にも涙が零れたぜ。


家族なんて誰にも言われなかった言葉だったからな。


生まれてから悪事の限りを尽くした。


別に後悔はしてない。それが俺の仕事だったからな。


金銀宝石、絶世の美女、舌を満足させる料理、全てを超える力。


全てを手に入れたと思っていた。


しかし、心の底では渇いていた。


何かを求めるように心の底が渇いていた。


何なのか解らなかった。


しかし、飛天に家族と言われ俺の心の渇きは潤った。


飛天が俺の心の渇きを満たしてくれた。


何度、飛天に感謝した事だろう。


感謝しても仕切れない位の気持ちだった。


そして決意した。


飛天の事を蔑む奴らを俺は許せない。


あんなに必死に頑張った飛天を、こんな化け物の俺を家族と言ってくれた飛天を馬鹿にする奴は俺がこの手で八つ裂きにしてやる。


ギリギリと歯軋りをする。


俺の横では小さな寝息を立てて眠るジャンヌちゃん。


「・・・・・安心しろ。ジャンヌちゃんは俺が護る」


床で幸せそうに眠るジャンヌちゃんを見ながら俺は決心する。


その寝顔はどんな宝石よりも光り輝き眩しかった。


俺達、闇の者には決して出来ない表情。


そして飛天同様に俺に優しく接してくれた可愛い天使の娘。


飛天の荒んだ心もジャンヌちゃんの力で癒えている。


惨劇で失った物を飛天は再び手に入れた。


だから、ジャンヌちゃんを大切に壊れ物を扱うように大事にしているんだ。


ジャンヌちゃんを護る為なら飛天は何者にも負けないだろう。


心から愛する者を一度、失ったあいつだからこそどんな事をしても護り抜く。


そんな哀しくも慈悲深い飛天だからこそ俺もフェンもヨルムもゼオンも本当の意味で忠誠を誓うのだ。


「・・・早く勝ってジャンヌちゃんを迎えに来い。飛天」


俺は腰に差した同田貫を鞘から抜き左手を具現化して仁王立ちになった。


相棒の大切な女だ。幾千の屍を気付こうと護り抜いてみせる。


それが俺の飛天に対する忠誠の印だ。

次もお楽しみに!?

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