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逸話:逃亡からハネムーンへ

良い所でお預けを喰らう夜叉王丸を楽しんで下さい。

人界からアスモデウス様を強制連行した飛天様と私は屋敷に帰り中に入った。


「くそっ!この鎖を解け!?」引き摺られながら飛天様を睨むアスモデウス様。


「うるせぇな。少しは静かにしろ」呆れたようにアスモデウス様を見下ろす飛天様。


「何だと!?よくも騙しやがって!?」


「す、すいませんっ」罪悪感から私は謝る。


「お前は謝らないで良いんだよ」飛天様が少し咎めるように言った。


「でも・・・・・・」


「こいつの血走った顔を見ただろ?」


「う、うん」正直、アイドルがストーカーって言った気持ちが分かった。


「あんな顔で行ったら即効で捕まってたから俺達は未然に防いだんだ。これは良い事だ」


「それに俺が最初に誘ったんだ。お前に罪はない」


「ううん。私も手伝ったから共犯だよ」


「・・・・・ジャンヌ」


「飛天の罪は私の罪でもあるんだよ」私の瞳をじっと見つめる飛天様。


「・・・・・・おーい、そこの夫婦。熱々のラブシーンの所を悪いんだが、早く屋敷の中に連れて行くか、鎖を解くかしてくれー」


アスモデウス様の情けない声が聞こえてきて飛天様の眉が思いっ切り吊り上がった。


「・・・・・・・・」


無言でアスモデウス様の鎖を掴むと屋敷に向かって投げた。


「ぎぃぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」


弾丸のようにアスモデウス様は屋敷の玄関に向かって跳んで行った。


「ふんっ」唖然としている私と不機嫌そうに鼻を鳴らす飛天様。


「ったく、良い所で邪魔しやがって」


「ところで話は変わるが報酬の望みは何かな?ジャンヌ姫?」


そうだ。忘れていた。手伝った礼に何か一つ望みを叶えてくれるんだった。


何にするかは決めているんだけど・・・・・・・・・・・・


「・・・・・望みはもう決めてあるの」


「それで望みは?」


「え、と、ね・・・・・・・・・・」


「主人様!奥様!大変です!?」


望みを言おうといた瞬間にヨルムさんが屋敷から出てきた為に言えなかった。


「・・・・・なんだ?」殺気を出す飛天様。


「ひぃっ、お、お取り込み中、申し訳ありませんっ!で、ですが、大変なのです!?」


飛天様の殺気に怯えながらも役目を果たそうとするヨルムさんは尊敬に値する。


「今、テレビで主人様と奥様が出ています!?」


「私と飛天が?」私と飛天様は顔を見合わせた。


「とにかく急いで来て下さい!?」


私と飛天様の腕を掴み屋敷へと急ぐヨルムさん。


「主人、奥様!!早く早く!?」


客室に入るとデュランとフェンさんとゼオンさんと隅っこに棄てられるようにアスモデウス様がテレビを凝視していた。


テレビには“強盗を撃退!!漆黒の男!!”っという題名で私と飛天様が映っていた。


「今日、正午に東京のマクドナルドで強盗事件が起きましたが、強盗は店内にいた全身黒尽くめの男に撃退されました。男は、店員に店の修理代を払うと一緒にいた銀髪の美女を連れて悠々と店を去ったそうです。警察は強盗を撃退した男の行方を追い事情を聞く模様です」


「主人様、一体なにをしてるんですか?」皆の視線が私と飛天様に集まった。


「見ての通りだ。たまたま命知らずの餓鬼が俺に銃を向けたから潰しただけだ」


平然と答える飛天様。


「それなら仕方がありませんね。主人様に銃を向けるなどしたのですから」


従者一同は納得したように大きく頷いた。


「あらあら。私が留守の間に大騒ぎじゃない」


窓口に座りながらペイモン様が笑いかけてきた。


「ペイモン様、帰ってたんですか」


「ついさっきね」妖艶な笑みを浮かべるペイモン様。


「それより早く逃げた方が良いわよ。ビレト殿とザパン殿が怒鳴り込んで来るから」


「なにっ?!」


「たまたまテレビを点けたらワイドショーで貴方達が派手に映っているのを見てカンカンよ」


愉快だと笑うペイモン様。


「捕まれば半日は説教。それから強制的に夜会と演習参加かしら?」


「・・・・・・・・・」飛天様は顔を真っ青に染めて私も青くなった。


あの二人のお説教・・・・・・・・・・・・・・怖い!?


殆ど会話した事ないけど物凄く怖いらしい。


「どうするの?飛天」私が不安そうに見上げると


「決まってる。逃げるが勝ちだ」


私の腕を掴むと中庭で眠っていたダハーカさんを起こした。


「ダハーカ!今から北欧に飛べ!?」


素早く私を乗せてダハーカさんの手綱を掴むと空高く飛び上がった。


「ヨルム、ゼオン!後は頼んだ!?」ヨルムさん達に後を頼む飛天様。


「こら!?飛天!!逃がさんぞ!?」


後ろを振り返ると蝙蝠の翼を出してビレト様とザパン様が凄まじい形相で迫ってきた。


「急げ!ダハーカ!?」


眠たそうに欠伸をしながらもダハーカさんはビレト様とザパン様を引き離した。


「待たんか!!」


後ろからはお二人の怒鳴り声が聞こえてきたが直ぐに聞こえなくなった。


「・・・・・ふぅ。何とか逃げ切ったか」疲れきった様に息を吐く飛天様。


「ねぇ、なんで北欧に逃げるの?」


「ん?少し用事もあったから良いかな?って思った」


「それで、望みは?」


辺りを見回してから尋ねる飛天様。


「その事なんだけど、もう叶ったから良いよ」


「もう叶った?」首を傾げる飛天様。


「私の望みは飛天とハネムーンに行く事だよ」


「ハネムーンに?」


「うん。まだハネムーンに行ってないでしょ?」


「そう言えばそうだな」


「でしょ?だから、何処かに旅行に行きたかったの」


そう。私の望みは飛天様と新婚旅行に行きたかったのだ。


結婚したけど式も挙げてないし、旅行もしなかったから式は無理でも旅行には行きたかったのだ。


「なるほど。そういう面ではビレトとザパンのおっさんには感謝しないとな」


「うんっ」


二人で笑い合っている時にヨルムさん達はビレト様とザパン様に八つ当たりを受けているのを私は知らなかった。

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