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第二十三話:鬼ごっこでご用

今回は夜叉王丸が壊れてます(爆)

俺の腕を引っ張りながら城の中を歩くジャンヌの表情は不機嫌丸出しだ。


何か俺、嫌がるような事したかな?


アラストールの事か?


答えは否だな。


あいつの時は『飛天なんて嫌い!!』って言われたから直ぐに止めたし。


一人の女に気にかけるなんて・・・・・・・・・・惚れた弱み、か。


まぁ、それはそれで構わないがな。


「飛天、なに笑ってるのよ?早く帰るよっ」俺の顔を見て更に険しくなった。


怒った顔も魅力的なんだよな。


「もっと速く歩く!!」怒り口調で更に歩調を速めるジャンヌ。


「おいおい。そんなに急かすなよ」苦笑しながら答える。


「何でそんなに速く帰りたいんだ?」俺の問いに


「あんなムカツク王女の城なんて一秒も居たくないわよ!!」怒髪天を突く勢いで叫んできた。


王女?リリムの事か。


確かに。険悪な感じだったな。


「だから、速く帰るの!?文句ある?!」反論は許さないっといった口調だ。


「いいや。何にも」その迫力に少し尻込みした口調で答える。


「無いなら行くよ!」再び前を向き歩むジャンヌに引っ張られながら俺は内心、微笑んだ。


この俺を尻に敷くとは流石だ。


そんな事を思いながら、城を出ようとした所で


「よぉ、ジャンヌちゃん。ついでに飛天も来ていたのか」ベルゼブルに呼び止められた。


ちっ、いつもタイミングよく現れやがって・・・・・・・・・・


「べ、ベルゼブル様っ」


ベルゼブルの顔を見た途端にジャンヌの険しい顔は怯えの表情になった。


やはり、皇帝だから恐縮しているのか?


俺的にはただのエロ爺にしか見えないが・・・・・・・・・・


「なに、不埒な事を考えている?」俺を睨むように見てくるベルゼブル。


「べっつにー」わざとふざけた口調で答える。


「嘘吐けっ。馬鹿にしてただろ?!」


ほぅ、流石は俺の義父。分かってるじゃないか。


「まったく。こんな人生破綻者が夫でごめんね。ジャンヌちゃん」


俺からジャンヌに視線を移すベルゼブル。


「い、いいえっ。だ、大丈夫ですっ」恭しく頭を下げるジャンヌ。


「健気だね。もし何か酷い事をされたら俺の所に来なさい。こんな馬鹿息子より良い紳士を見つけて上げるから」


こいつの一つ一つの仕草が無性に腹に来る。


しかも酷い事なんて・・・・・・・・・・・・してなくわない。


「まぁ、立ち話はこの辺にして。これから茶会をするんだけど、ジャンヌちゃんも一緒にどうかな?ついでに飛天も」


むかっ。“ついで”とはなんだ“ついで”とは!?


「生憎だな。もう帰る」これはジャンヌが言ったんだからな。


「はいっ。喜んで参加します」


ずるっ。


おいおい。直ぐに帰るんじゃなかったのか?



不覚にも床に尻餅を着いてしまった。くそぅ、恥ずかしい。


「なんだ?尻餅なんか着いて・・・・・・・」


にやにやと俺を見下ろすベルゼブル。


くぅー、斬り殺してぇ!


「さぁ、こんな馬鹿は放って行こうか?」


ジャンヌの手を取り優雅な動きで歩き始めたベルゼブル。


このクソ爺が!!


俺は足を引っ掛けてベルゼブルを転ばせるとジャンヌの手を掴んで走り出した。


「飛天!!」後ろからベルゼブルが追って来た。


面白い。鬼ごっこか?


俺はにやりと笑いジャンヌを抱き上げると更にスピードを上げた。


「待てぇい!!今日は逃がさんぞ!?」ベルゼブルもスピードを上げてきた。


へぇー、年寄りのくせに頑張るな。


「ちょ、ちょっと飛天っ」


ジャンヌが叱り口調で言ってきた。


「心配するな。ただの鬼ごっこだ」


「鬼ごっこって・・・・・・・・・」呆れた表情だったが、直ぐに嘆息した。


どうやら諦めたようだ。


「なぁに心配するな。直ぐに引き離す」笑いながら答えた。


「それはどうかしら?」


アラストールの声!!


前方から文鎮が付いた鎖が飛んで来て交わし切れずに首に巻きつかれた。


「ぐぇっ」蛙のような声を出してしまう。


「よくやった。アラストール」後ろから追い付いたベルゼブルがアラストールに微笑んだ。


くそっ、油断した。


「姫を抱いたままで助かったわ」くすりと笑いながらアラストールは鎖に力を入れた。


「さぁ、大人しくしろ。客が待っている」ベルゼブルが降伏するように呼びかけた。


「飛天、諦めようよ」


ジャンヌにも降伏するよう言われ降伏する。


「ふふふふふ。行くぞ」


勝ち誇ったように笑いながらベルゼブルは背を向け歩き出した。


ベルゼブルが先を歩きその後ろをアラストールが首に巻きつけた鎖を解かずに引っ張った。


これじゃ逃げられん。


観念して俺はジャンヌを抱いたまま茶会の場所に連行された。


俺は罪人か?まぁ、何回も作戦を無視して連行された事はあるから良いけど。


出来るならジャンヌの前ではやられたくなかった。









「着いたぞ」ベルゼブル達が開いている茶会室に連行されて中に入ると


「久し振りだな。飛天」


「お久し振り。飛天さん」


冥界の王、ハーデスとその后、ベルセポネ殿が座って優雅に茶を飲んでいた。




「おい。客ってこの二人か?」ベルゼブルに尋ねると


「ん?後、アフローディナとフレイヤにアテネも来る予定だが」


な、なぁに!!あの性悪女と戦大好き女も来るだと!!


冗談じゃねぇ。


「逃がさないわよ」首に巻かれた鎖に力が入った。


「ぐっ」


「ほら、早く座る」


言われるままに席に座らせられた。


ジャンヌは俺の膝の上。


椅子に座り、やっと鎖を解かれた。


「ふぅ、きつかった」ゴキゴキっと首の間接を鳴らしてみる。


「大丈夫?」心配そうに首に残った鎖の後に手を触れるジャンヌ。


首筋に熱い吐息に上目使いに見上げてくるジャンヌに理性が切れそうになった。


くそっ、ジャンヌの決意が固まるまで我慢だ!!


「ふふふふ。妻を想い耐えるとは健気だな」


ベルゼブルは面白そうに笑った。


くっ、後で覚えてろよ。


「飛天を虐めるな。可哀相だ」


ハーデスが咎めるようにベルゼブルを見た。


「飛天は私の恋のキューピッドなんだからな」


ぶっ


膝の上に座っていたジャンヌが吹き出した。


まぁ、この俺が恋のキューピッドなんて笑いぐさも良い所だ。


「姫、笑い過ぎですよ」


アラストールが咎めるように言った。


「いや、飛天が恋のキューピッドなんて絶対に笑うって・・・・・・!!」


ベルゼブルも笑いながら俺を見た。


「相変わらず笑いの種を絶やさない奴だ」


「本当の事を言っただけだぞ」少し怒った表情をするハーデス。


ホント、こいつって純粋無垢だよな?


アスモデウスもストーカー行為はしても手は出さないしな。


「俺の何処が恋のキューピッドなんだよ?」


「外見はどうであれ、私とペルセポネの仲を良くしてくれたのはお前だ」


「そうね。奥手なハーデスに変わって飛天さんが仲を取り合ってくれたんですもの」


ペルセポネ殿とハーデスに言われ少し顔が綻んでしまう。


「そりゃ間違った取られ方をされたら、あまりにこいつが哀れだからな」


注がれていたコーヒーを口にする。


「捻くれた性格は変わらんな」ハーデス夫婦とベルゼブルとアラストールに笑われる。


くそっ!


「ところで何しに来たんだ?」情けないから話題を変える。


「ん?お前が結婚したから様子を見に来ただけだ」


そんな下らん理由で魔界に来るなよ。


「神界も精霊界もお前の結婚話で持ち切りだ」


ふざけたように笑うハーデス。


「そんなに凄いんですか?ハーデス様」


黙って聞いていたジャンヌが口を開いた。


「あぁ。こいつ程、女性に本当の意味で好かれてる男を見た事がない」


そんなに好かれてるのか?


人間の頃なんて毛嫌いされてたのに・・・・・・・


「人間は、外見と自分達で証明が出来ないものしか信用、愛さない愚かな生き物ってお前が言っていただろ?」


ハーデスが俺の思考を読んだように言った。


「まぁ、僅かにお前みたいな奴もいるがな」


ベルゼブルも椅子に座りアラストールも座った。


「女神達も精霊達も本質を見抜いてお前を好いているんだよ」


「だから、そんな自信なさそうな顔をするな」


どうやら柄にもない表情をして気を遣わせたようだ。


これ以上は長居できんな。


帰ろうと立ち上がろうとしたが、アラストールの鎖が足に絡み付いていた。


「まだ帰るには早いわ」


口元だけで笑う姿は地獄の処刑人の事はある。


俺は観念して茶会を楽しむよう努力した。

次回は少しシリアスです

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