表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/64

第二十一話:二人だけの茶会

今回は甘々な二人の雰囲気と怒るジャンヌを楽しんでください!?

城の奥へと進んで行くと馬子ばこさんが現れて乗っていた馬の手綱を握って馬小屋に誘導してくれた。


「じゃあ行くか?」馬から降りて馬子さんに後を頼むと私の手を取って歩き出した。


「俺の部屋は殺風景で味気ない部屋だが、風が気持ち良いぜ」


私に微笑む飛天様の笑顔は極上と言っても可笑しくなくて、近くにいたメイド達なんかは黄色い悲鳴を上げていた。


『きゃあ!男爵様!素敵です!!』、『お髭を剃って凛々しいです!』、『灼紗様!こっちを向いて下さい!?』


っと言った具合だった。


夜会から結構な時間が過ぎて飛天様の髭は伸び始めたのだが私が


『髭を剃って髪を整えた方が格好良い!』って言った次の日から手入れしてるんだよね。


お陰?でちょっと買い物に行くだけで囲まれて嫉妬と羨望の嵐が来るんだよね。


「どうした?」私の顔を覗き込む飛天様。


「ううん。何でもない」首を横に振る。


「もう少しで着く」私が疲れていると思ったのだろう歩く速さを緩めてくれた。


そして5分後に飛天様の部屋に到着した。


金銀や宝石で飾られてない凄く質素なドアに見えたが品があるドアだった。


下手に飾るよりも綺麗に見える。


ドアを開け私の手を引きながら中に入る。


部屋の中は政務をやる為に置かれた机と滝を描いた掛け軸と小さな本棚と安楽椅子だけだった。「昔と変わらなくて懐かしいぜ」


閉められた窓を開けると楽器の音色が聞こえるように風が入って来た。


「どうだ?気持ち良い風だろ?」


テラスに手を着いて振り返って私を見た。


「うんっ」私もテラスに手を着いて風を浴びる。


「気持ち良いー」心から感想を言う。


「それじゃ、風を浴びながら茶でも飲むか」


飛天様が軽く指を鳴らすと白いクロスが掛かったテーブルとティーカップとポットが出てきた。


「凄い!!」手を叩いて感嘆の声を上げる。


「今日は特別サービスで俺が容れてやる」


椅子を引いて私を座らせると、マントと帽子を椅子に掛けて葉を選び始めた。


「どんな味が好みだ?」


「んー、癒されるような味が良いかな?」


「畏まりました。姫」恭しく頭を下げると飛天様は茶を作り始めた。


「慣れた手つきだけど、何かしてたの?」


「ん?よく令嬢達に茶会に呼ばれてやらされてたからな」


選んだ葉をカップに入れて湯を注ぎながら答える飛天様。


「ほい。出来たぞ」テーブルに出来たての紅茶を置く飛天様。


淡い匂いが鼻を刺激して気持ち良かった。


「後、茶菓子も用意しないとな」


これまた指を鳴らすだけで茶菓子を出す飛天様。


「じゃあ、頂きます」カップを持ち上げて香りを楽しむ。


「んー、良い香り」


「少しアルコールの入った葉を入れたからな」


なるほど。だから、夢の世界に誘うように甘くて良い香りなんだ。


「飛天は?」


「俺は、ブラジル産の豆とフランス産の豆をブレンドしてミルクを入れたコーヒーだ」


「男の人って皆、ブラックだと思ってた」


「まぁ大抵がそうだが、俺は苦すぎるから苦手だ」


「じゃあ、甘い物も大丈夫なの?」


「あぁ。どちらかと言えば甘い物は好きだ」


「飛天が甘い物が好きって以外」


「見た目で判断したな?」


「うん」


「はははははっ。正直な女だ」


声を出して笑うと風に揺られた私の髪を撫でた。


風と同じように優しく優しく・・・・・・・・・


「お前は最高の女だ」髪を撫でていた手を下に下ろし顎にをかけた。


「・・・・・ジャンヌ」私を見つめる瞳は優しくて温かさがあった。


「・・・・・」私は無言で瞳を閉じた。


この雰囲気と飛天様の様子を見れば分かる。


口付けをする。


別に嫌だとは思わない。


政略結婚できた私を大切に扱ってくれる飛天様を私は好きだと思う。


しかし、恋人のような好きなのか、恩人として好きなのか分からない。


そんな事を思っていると飛天様の吐息が近づいてきたのを鼻先で感じ取った。


身体が僅かに震える。


「・・・・・・・・・」私の震えを怯えと取ったのか飛天様が離れるのが伝わってきた。


「ッ!!」反射的に私の身体は無意識に動き飛天様の服を握った。


「・・・・・・私は、怖くないから・・・・・・大丈夫だから」


必死に服を掴んで少し涙目になった瞳で飛天様を見つめた。


何故かは分からないが飛天様が私から離れるのが嫌だった。


「・・・・・・・・」再び吐息が近づいてきた。


そして、唇を重ねようとした瞬間


「・・・・・・これは、大変な説きにお邪魔してしまいましたかしら?」


見知らぬ女、少女の声が聞こえた。


眼を開けて声のした方を見ると外見が十八、九歳のお尻まで伸びた蒼髪にルビーのように赤い瞳の美少女が立っていた。


しかし、腕を組んでいる表情は不機嫌丸出しで私を睨んでいた。


・・・・・・・誰?せっかく勇気を持って決心した所を・・・・・・・・・・・


「・・・・・リリム」少し怒った声で飛天様が少女の名前を呼んだ。


リリムってサタン様とリリス様の娘で飛天様と私を呼び出した張本人。それが何で不機嫌なの?


私の方が不機嫌なのに!!


こうして義妹に当たるリリムと破滅的な出会いを私は果たした。

次回はリリムとジャンヌの夜叉王丸争奪戦をご期待ください(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ