絶望
なんで私はまだ生きているのだろう?
家もお金も家族すら、何もかも失った私が。
行く宛ても生きる術も思いつかない。
「もういっそ...楽になろうかな...。」
そうつぶやき、私こと雲雀奈緒は歩き出す。
誰にも迷惑をかけずに一人でこの世から消えるために。
歩きながら私は思う。
なんてこの世は残酷なのだろうと。
私が何もかも失った日、その日は家族みんなが休みの日だった。
私は買いに行きたいものがあったため少し出掛けることにした。
「買い物行ってくるね、多分2時間くらいで戻るから〜。」
そう言って私は買い物をするために家を出る。
だけどこれがいけなかった。
ここで出掛けていなければ私も一緒に死ぬことが出来たのに...。
家の前に着いた私は目の前の光景が信じられずに唖然としていた。
家が燃えていたのだ。
辺りを見渡しても家族は誰もいない。
消火活動をしている消防隊に私は叫んだ
「なんで家が燃えているの!?家族は!!私の家族はどこですか!!!」
だが、帰ってきた言葉に希望はなく
「恐らくですが...この中にまだ...。」
と。無慈悲な現実を突きつけられた。
「それなら助けに行かないと!!!」
「だめだ!!火が広がりすぎている!このままだとあなたも死んでしまうぞ!!!」
私は消防隊に抑えられ目の前の光景をただ見つめていることしか出来ないのだった...。
後々聞いた話によると家に強盗が入り、家族のみんなが刺された。
そして脅され、お金を盗まれた後に家族を巻き込み家に放火したらしい。
私が住んでいた家は住宅街から少し離れた場所にあったため周りからも気付かれにくかったし助けが来るまで時間もかかったようだ。
そして私はこの日に全てを失い、この世に絶望した。
私は歩いて歩いて歩き続ける。
全ては家族のみんなに会うために。
そうしてやがて私はたどり着いた。元々あったはずの、私の家に。
お金も家族もいない、頼れる人も何もかも存在しないのだ。
だからもういいだろう。
「疲れた...。」
私は持っていた刃物で首を貫こうとする。
だがその時、
「まだ逝くのは早いだろ。俺がお前を見ている限り、お前を死なせないぞ。」
と言って私と同じくらいの歳の男の子と出会い、私の自殺を止めてくる。
そしてこの出会いが、この男の子がこれからの私の生きる希望となっていく存在であるとこの時はまだ知らずに......。




