序章
ここは明治の日本。美しい四季が織りなすこの場所でとある一組の夫婦がいた。
旅行が大好きでいつでもどこでも一緒だった2人。
しかしある日愛しい妻が姿を消してしまった。
これは妻を追っていく物語…
『なぜ……なぜどこにもいないんだ花!』
僕は妻の名前を叫んでいた。屋敷の隅から隅まで何度も走り回って探した。寝間着が乱れているのも気付かない程に。
思考回路をフル回転する。
ただいまと花に言って、花が作ったご飯を食べて、冗談を言って花を笑わせて、花と一緒のベットで寝ていたはずなのに……
『もしかしたら庭を散歩しているかも…』
居ても立っても居られず庭に飛び出す。目に入るのは植物が好きな花のために僕が毎日手入れをして、綺麗にしていた美しい花壇だけだった。
愛しい妻が見つからず、仕事も放棄し、不安と恐怖と心配で眠れない日々を数日過ごした。ある日の朝、僕と花の身の回りのお世話をしてくれていた、たった1人の使用人の雫が手に封筒を持ち、珍しく焦った様子で僕の部屋にやって来た。
『失礼します旦那様!ポストに封筒が…中身を見たらどうやら奥様が直筆された手紙のようで!』
僕は焦りから泣きそうな雫の手にある封筒を奪い取り、中の手紙を取り出して見る。
そこにはこう書かれてあった。
拝啓 愛しい旦那様
突然姿を消したこと、お許しください
僕は目を見開き、その手紙の続きを読むのだった。
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