表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/204

第23話 魔法建築の匠


組合の前に一台の馬車が止まる音がした。帰ってきたのは、学校から戻った樺谷さんともう一人の組合員だった。


彼らが目にしたのは――見慣れたボロ屋敷同然の組合施設ではなく、ピカピカの新築。


樺谷さんともう一人の組合員が、動揺して目を白黒させていた。



「や、山口! これはなに!?」



キリッとした雰囲気で、隙のなさそうな彼女からは、想像もできなかった反応をいただけた。

そりゃあ、数時間組合から離れた隙に建物が綺麗になっていたら、誰だって驚くな。と、他人事のように頷く。


人の頭の上に顎を乗せているソラは、のんびりとあくびをしているらしい。相変わらずのんきなんだから。



――魔法で、新しい組合施設を建てていた音に気づいた近所の人が見に来て、途中からお披露目会みたいになった。


拍手の渦の中、まるで舞台に立たされたように視線が集まり、喉が詰まりそうだった。

囲まれたのが怖すぎて、泣きそうになったのは秘密。


話を聞きつけた新聞社の人間が勝手に写真を撮りに来て、明日の朝刊に載せたいと興奮気味に頼まれてしまい……そんなの断れるわけもなく、しぶしぶ了承した。

しかも、俺が社長です。みたいに腕を組んで立っている写真。


いや、偶然そうなっただけなんだけど。

顔だけでいいから切り抜いてくれないかな。すごく嫌。



「また仕事の依頼が増えるかも」と、得意げに言う白猫。たしかに、建築の依頼とかきたらおもしろそうだな。一時間程度で済むのに、高額の請求もできるし。



山口さんとは、さっき「俺が遊びに来たついでに直したことにしてくれ」と打ち合わせ済みだ。


頼むぞ山口さん。


樺谷さんににっこにこの笑顔を向け、彼は口を開いた。



「お疲れさまです! 利他さんが……あ、遊びに来たついでに、なんか……その、直してくれました!」



……なんともたどたどしい。面接なら即落ちるな。


二人のやり取りを聞きつつ、新しい建物を改めて眺める。

建物は街の雰囲気に合わせ、白い壁と青い屋根に統一した。横に長くて、空から見ると長方形に見える。


風通しと日当たりを考えて窓を増やし、外からも中の様子が見えるようにした。入口にはランタンをぶら下げ、おしゃれな雰囲気に。



外観を見て固まっている樺谷さんに、中も見てほしいと促す。

まるで、高級旅館の襖でも開けるように「お邪魔します」と、言いながらそっとガラス戸を開ける。


なんだその、かわいらしい仕草は。



改装前は、常にカーテンでも引いたような薄暗さがあって気味の悪い場所だった。そうならないよう床の色を明るくし、壁を白く塗ったことで灯りがなくとも温かな場所になった。

椅子はすべて、校長室にあったふかふかの長椅子と同じものを採用。色は山葵わさび色に。


家具もすべて新品に作り変えた。


明るい床と白い壁が、午前の陽射しを反射してふんわりと部屋を照らしている。空気まで新しく、新鮮になったような気がした。



この建物は、気軽に立ち寄れるおしゃれな喫茶店を想像して手がけたものだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ