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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

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第21話 ネズミの天敵


山口さんに案内され、資料室の扉を開けた瞬間、思わず足を止めた。


これは……関連資料を探せる環境じゃない。


書類が床から棚まで並び、俺の身長を優に超える高さで積み上げられている。一枚でも抜こうものなら倒れてきそうだった。足の踏み場もないじゃないか。



「すみません……散らかってて」


「……うん。まあ、そういうときもあるよ」



彼が離れていったので、俺の足の甲に両手を乗せていたソラと顔を合わせた。



「これはひどいな……」


「探し物するときどうするんだろうね」



組合員総出で資料をバサバサと見返す情景が見えるな。


足元で行儀よく座るにゃんこに再び目をやる。ここに積まれた書類は猫より高さがある。崩れた紙に埋もれて潰れでもしたら大変だ。

ソラには肩に乗ってもらい、図書館で使ったときと同じ魔法をかける。


該当したのは二件だけだった。


ペラペラとめくりながら、軽く中身を確認する。

十年前に研究所で起きた爆発事故の記録と、二年前の火災の調査――まさにこれだ。


こんなにも雑に置いてあったから心配したが、調査報告書はきちんと作られていた。



この部屋は落ち着いて読むどころか、座る場所すらない。無理に読み込んで、紙の束が崩れられたらたまったもんじゃないし、ここはひとまず退散しよう。


服の内側に、写した資料を隠した。腹部に違和感があるし、腰が曲げにくい。



部屋を出た瞬間、扉を閉めたときの風圧のせいで、紙がバサバサと崩れる音がした――。





「あれ? もういいんですか?」


「ああ。案外すぐ見つかって」



お世辞かと思ったら本当に暇みたいで、山口さんは箒で床を掃いているところだった。

向かい合って座り、お茶をいただくことに。


よかった。さすがに湯呑みは綺麗だ。


緑茶のさっぱりとした爽やかな味わいが口の中に広がる。



「ここって、建て直しの要請はしないの?」


「あー、ここですね。前から言ってるんですけど、なかなかやってくれなくて」



げんなりした表情だった。

たぶん、山口さんは勤めたときからずっと思っていたはずだ。なんだここは、と。


魔導士協同組合の建物は町ではなく国の管轄になるため、ケチだから申請が下りにくい。


ミカヅチ本部の屋根が台風の影響で壊れたときも、雨漏りしていないからという理由で修理してくれなかった。そのときは俺が修繕の魔法をかけ、屋根をしっかり補強して事なきを得た。



「上からネズミが落ちてきたときは、もうどうしようかと……」


「ぼくの出番かな?」



膝の上で背筋を伸ばすソラが、誇らしげに胸を張る。

頼もしい……けど。



「探してくれるの!? ぜひ……」


「いや、やめてくれ」



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