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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

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第19話 公衆電話の光明


新聞記事をひと通り確認したが、関連しているのは二年前の火災の件くらいで、これといった収穫はなかった。

事故の詳細も魔力の移植の件もわからずじまい。


成果があるとするなら、まず一つ。

移植手術は確実に行われていたという事実。


そしてもう一つ。

鳳さんは、魔術について何か知っているかもしれないということ。



回収した書類にすべて目を通し終えたため、代金を払って店を出た。


いい店だった。また来よう。


暗い店内から出ると、外の明るさが目にしみた。思わず目をしばたたきながら、狭い道路をゆっくり歩き出す。



――ルネの推測によると、お嬢ちゃんもしくはお兄さんは、魔力の移植手術により、母親から受け継いだ魔術の効果は免れている。

けど……二年前、『二十歳まで』の魔術である“金炎”を発動している。


もしかしたらそれが原因で、その代償は復活しているんじゃないか?


仮に、二年前の火事を起こしたのがお嬢ちゃんで、その呪いを受けてしまっているのなら……あと四年……短すぎる。

お兄さんに至っては、すでに亡くなっていることになる。



鳳さんの家に行って資料でも読ませてもらえたら、解除の方法とか、術の緩和とかわかったかもしれないのに。

調査を進めていく上で、いずれ訪ねなければいけないということだけ頭に入れておこう。


……今はまだ、片足を突っ込んだだけ。

心は焦燥しょうそうするけれど、焦ってどうにかなる問題じゃない。


とりあえず、新聞は一媒体、一手段だ。ほかの面から探してみよう。



図書館の完全貸切ができるのなら、魔法を使って魔術関係の本を検索できるのになと贅沢な思考に陥るが、首を振って消し去った。



目的地が定まらぬまま、駅に向かって足を引きずらせながら歩く。


空は澄み渡り、雲ひとつない青空が広がっている。太陽から差し込むやわらかな光が肌を温める。

花壇の三色菫パンジーが風に揺れて、まるで踊っているようだった。


風景を眺めながら歩いている間に、駅が目の前に迫っていた。



考えがまとまらないし、一度出直すか。


そう思い、ふと顔を上げた先に、公衆電話が設置されていた。



――たしか、十年前の爆発事故は、ワタツミ警察署が担当と書いてあったな。

俺は組合員ではないから、警察署に行ったところで当時の事件資料は見せてくれないだろう。

でも、魔法関連の事件はワタツミ支部も協力しているはずだ。同じ資料が置いてあるんじゃないか?


……そう考えたら、口元に忍び笑いが宿る。ひと筋の希望が差し込んできた気がした。



「……なんで、にやにやしてるの?」


「今になってうなぎ事件の担当になってよかったな、と」



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