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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

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第12話 流舞の魔導士


数分後、原岡が子猫を腕に抱いた少年を連れて降りてきた。ついでに、鉄塔の中から少年を探していたという三人の魔導士も。


無事だったか……よかった。


腕の中の子猫を撫でるように抱えているあの姿、なんだか胸にくるものがある。


猫好きみたいだな……さすがだ、少年。



野次馬の先頭にいた、親だと思われる二人が走ってきて、子どもと子猫を抱きしめる。


まるでその三人を包み込むように、太陽が優しく照らし出す。

群衆は緊張から解き放たれた反動で、歓声と拍手を惜しみなく贈っていた。



さて、なんとかなったし帰るか。


そう思って振り返った瞬間――目の前に誰かが立っていた。



「わっ……!」



思わず飛び上がる。


びっくりしたー……距離近すぎるって。


まるで朝霧に濡れた砂のような、灰色に淡く光る薄茶色の髪。それと、那智より痩せ気味の体型。

眼光が鋭いが、穏やかな性格の持ち主らしく、女性に人気と噂の、北方支部責任者の渡辺さんだった。

……既婚者らしいけど。


“ミカヅチ三人衆”と呼ばれる本部、北方、南方支部の責任者が組んで解決しなかった事件はないという。

三人とも四十代で歳が近いから、馬が合うのかもな……なんて余計なことを考えていたら、鋭い目を向けてきた。



「利他くん、協力に感謝する」



声が渋い。かっこいい。



「いえ……自分も、何が起きたか……わかっていませんので」



壊してしまった結界はどうするのかと尋ねると、おそらく術をかけ直すことはしないだろうとのこと。今回の件と似たようなことがあれば、対処するのに時間がかかる。それを危惧してのことだろう。



「そういえば、きみと会うのは汽車乗っ取り事件以来だね」


「ああ、そうでしたね。たしか――」



俺が本部に所属していた年の夏。

ミカヅチ駅で、汽車乗っ取り事件が起きた。


俺が那智と陽菜と三人で組んでいた頃で、あのときは支部の優秀な人材が総動員された。まあ俺は、二人のおまけだったけどさ。


大勢の魔導士が戦っている中、責任者の魔法は今でも思い出せるくらい、威力が絶大だった。

そのときの渡辺さんの動きは鮮明に覚えている。


水を操っての攻撃は優雅で美しく、舞でも見ているかのようで感動した。

流舞るぶの魔導士”の二つ名を持つにふさわしい人だ。



「戦闘中、渡辺さんのことがっつり見ていたら、微笑んでくれましたね。余裕のある人は違うなと思いましたよ」


「……なんでそんないらないことを覚えているんだ」



そう言いながらも、渡辺さんの口元はわずかにほころんでいた。


さすが、余裕のある男は違うな。



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