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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

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第10話 鉄塔の子ども


駅には賑やかな声が響いていた。

けれど、その中に妙なざわつきが混じっていた。


人々のひそひそ声や、どこか焦ったような視線の動きが、不穏な空気を作り出している。


……まさか、飛び込み?


近くにいた紳士に聞いてみると、鉄塔に子どもがしがみついているのだという。


……なんだ、そっちか。いや、そっちはそっちで大問題だ。


すでに魔導士が到着しており、それを見守っているということだった。

自分も野次馬根性で魔導士が集まる場所を見に行ってみる。



魔導士が五人もいる……いや、ちょっと待て。

子どもがしがみついているだけなら、風魔法で上まで昇って助けたら済むはずだ。


何か別の問題があるのか?



どこの魔導士かと顔を覗くと、見覚えのある顔があった。

もみあげを刈り上げた黒い短髪で、さっぱりしたような顔つきの男。原岡だ。


同期の魔導士で、在学中……長さや重さを当てられるという、俺の特技を知った瞬間――女子の胸の大きさを教えろとか言っていたあいつが、今は真剣な顔で立っている。


原岡がいるってことは、ミカヅチ北方支部の面々か。それに、責任者の渡辺さんまでいる。


ずいぶんと物々しい雰囲気だけど、大丈夫か?

ちょっと聞いてみるか。



五人で輪になって話していたけど、構わず同級生の肩を軽く叩いた。



「原岡、久しぶり」


「ん? おお、利他! 卒業式以来だな」



昔話に花を咲かせる暇はないだろう。


「子どもが鉄塔にしがみついているって聞いた」と話を持ち出す。原岡は「ああ」と短く答え、眉をひそめた。

残り四人は、少し離れた位置でそれぞれ険しい表情で話し合っているようだった。



「この鉄塔……ここらの治安が悪かったときに、壊されないよう魔法妨害の結界が張ってあるんだと」



原岡が試しに可視化させた風の球体を作り、それを鉄塔に向かって投げると、球体は鉄塔の数メートル手前で消滅した。まるでそこだけ、世界から切り離されているみたいに、魔法がまったく届かない。


結界を破るには、結界専門の魔導士が必要だ。属性魔法とは異なる特殊な魔法だからか、身につくには時間がかかり、正式に認められた者はミカヅチ本部に一人、シナツ町の支部に一人しかいない。

距離的に近い本部に連絡はしたが、ほかの町からまだ帰ってきていないそうだ。



「三人は階段登って探してるんだけど、かなり上の方にいるみたいだから時間かかってる」


「なるほどな」



これは……思ったより深刻な問題だ。


ふと、視界の端で身振り手振りで話している魔導士の様子がちらついた。近くで話し合いをしている四人の様子が、どうにもただごとではない。

少し近づいて、耳をすませてみる。



「結界ギリギリまで近づいてから、飛び込むのはどうでしょうか?」


「いや、それは危険すぎる。もし足を滑らせたら……」


「でも、時間がないんです! 子どもの腕じゃ、もう限界かもしれない!」



北方支部のみなさんがとんでもないことを言い始めてしまった。


……これは下手したら間に合わないかもしれない。子どもの小さな体で、どれだけ耐えられる?

魔法じゃなくて、命綱が必要かもな。



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