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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
第7章 自意識

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第20話 延命の手段


隣に寄り添うソラが急に「あっ」と耳を立てる。



「妊娠する以外に長生きする方法ってないの?」


()()()。霜月香代の娘が、上位精霊と契約すること」



……は?


あまりにも唐突な方法に、思考が追いつかなかった。ソラと二人、身を乗り出した。



「……そんな方法があるのか?」


「上位精霊に魔力の管理をしてもらえばいい。精霊は、人間が使う魔術や魔法の影響を一切受けない。契約することで娘の魔力が安定するし、魔術の影響を精霊が管理するから、妊娠するよりずっと長く延命できる」



――助かるかもしれない。



胸の奥から熱いものが込み上げ、視界がじんわりにじんだ。涙が出そうになり、慌てて瞬きをする。



「なんで今までその方法をしてこなかったんだ?」



思わず声が荒くなる。


今まで散々調べてもなんの手がかりもなかったのに……こんな、あっけないほど明快な方法が。


怒りとも悲しみともつかない感情が、胸の奥で渦巻いた。



「誰も、精霊にそのような力があると知らないから。昔の人間も、現代の人間も、精霊について学ぶ手段がないからね」



ルネの言葉に、肩から力が抜けた。


知られていなかったなら、仕方がない。



それでも、悔しさが残る。



「上位精霊とは簡単に契約できるものなのですか?」


「すごく難しい。一生かけても会えない人間の方が多い」



上位精霊とは精霊界に一体しかいない存在で、下位精霊とは比べ物にならないほど能力が秀でているという。お嬢ちゃんが使う魔法は火属性だから、相性を考えると上位精霊イフリートとの契約が必要だと。



「イフリート、人間好きじゃないから、娘のこと気に入らなかったら契約してくれない。できるだけ説得してみるけど」



ルネが首を傾げ、翼をぎゅっとすぼめた。


そんなに気難しい性格なのか。不安にはなるけど……とにかく、この子には説得をがんばってもらおう。

お嬢ちゃんが長く生きられるのなら、どんな性格の精霊でもいい。


今のうちにやれることは全部やってやる。

あの子を、俺以外の誰が守れる。


――絶対に、負けられない。



希望が見えてきたら、さっきまでの絶望が嘘のように消えていった。気づけば、座卓の下で拳を握りしめていた。


ふつふつとやる気が湧いてくる。


すると、ソラがそっと頬に頭を寄せてきた。



「ソラも、うれしいのか?」



小さな頭を撫でると、ソラは満足そうに喉を鳴らした。



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