第19話 一筋の光
「あまり推測で話すのは好きではないけど――」
ルネの声が耳に届き、意識がふっと浮上する。絶望に沈みかけていた心が、わずかに引き戻された。
「シャーマンの力を受け継ぎ、この国特有の魔法の使い方をしている者が、新たな方法を生み出すことができたなら、魔術の解除に繋がるかもしれない」
――それって、つまり……。
「シャーマン?」
静かに聞いていた鳳さんが質問する。
ルネは座卓の上でまんじゅうみたいに丸くなり、鳳さんの方を見た。
「この国とは別の地に、霊媒師のような力を持つ、シャーマンと呼ばれる者がいる」
こちらに再び向き直り、くちばしを開いた。
「母親がシャーマンで、その力を継いだ者――つまり、きみだけが特殊な魔法を使える。ユウナ、きみがやるんだ」
あの霜月先生が二十年以上も研究し、見つけられなかった答えを――俺が?
無理に決まっている。
そう思った瞬間、指先を小突かれた。
「この魔法に関しては、想像力とかそういう次元の問題ではないと思う。今まで見たぼくの知識にもないんだ、ごめんね」
しょげる小さな頭を撫でる。
――頼りにされているのに、弱気になってどうする。
やるしかない。
やるしかないんだ。
「……やってやろうじゃないか」
あの手を、あの声を、守れるかもしれない。
やっと希望が見えてきた気がする。そう思った瞬間、血の巡りが早くなり、目に映る景色が明るくなったようだった。
「話の腰を折るようで……」
鳳さんが申し訳なさそうに口を開き、ルネは何者かと尋ねてきた。精霊だと教えたところ、腑に落ちたように深く頷く。
「魔法獣にしては自分の意見を持っているなと思っていたのですが、まさか精霊とは……」
「精霊をご存じでしたか」
「すでに亡くなられましたが、知人が契約していましたね」
「なるほど……」
そうだったのか。
まあ、なんにせよ、あと三年以内に『二十歳まで生きられる』魔術を解除し、この負の連鎖を終わらせなければならない。
魔法陣がここにあったら持ち帰ったのに。
……いや、待てよ。
「ルネ、鳳さんの記憶から、この魔法陣の形を描き出せないか?」
「できるけど……ぼくがそれを具現化した瞬間、この屋敷にいる者全員に、その魔術がかかる。つまり、寿命が二十歳までに制限されるよ」
「な、なに……?」
思わず声が上ずった。
「……それはまずいね」
「そうだよね」
ルネは申し訳なさそうに翼をすぼめた。
「それじゃ、ほかの方法を考えないと……」




