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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
第7章 自意識

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第16話 二つの魔術


手のひらを上に向ける。

魔力を込めると、眼鏡のフレームが組み上がり、パキパキと音を立ててレンズが形成された。


視力はいいから、度数は入れていない。



さて、始めようか。



「解読せよ」



眼鏡から、どこか軋んだような、金属が擦れるような音が響いた。瞬きを数回繰り返すと、文字がぐにゃりと変化し、いつも自分が使っている文字の形に変貌する。


巻物本体は変化してないよな?

そうなっていたら泣く。


眼鏡をずらして見たら大丈夫だった。



貴重な資料を、部外者が手に持って読むのもあれか。


指先を上に向けると、白い糸が手を覆うように縫われていき、それは綿の手袋へと変わった。


これでよし……では、読みますか。



顔を動かすと、きらきらした目の鳳さんが視界に入った気がした。


……いや、気のせいだろう。まるで、子どもが新しいおもちゃを見つけたみたいな顔をしていたけど。



巻物をゆっくり転がして中身を確認する。

ソラも横から巻物を覗くが、たぶん読めていない。


文書の中には、術式の構成、魔術の効果、そして――代償。過剰使用で命を落とす例まで、淡々と記されていた。


まるで、日常茶飯事みたいに。



……あれ?

金の炎について書かれていない。


金の炎……あれは『二十歳まで』の魔術とは違うのか?



もしかしてお嬢ちゃんは、()()()()()()()()()()()()()



いや――今は炎のことは置いておこう。あとで調べたらわかることだ。



巻物の中で気になったところは、この家系図。最後の名前――そこには、新しい墨ではっきりと『霜月優香』と書かれていた。


あの子の名が、こんな場所に……。



一瞬、心臓が跳ねた。

視線が、そこに釘づけになる。まるで、現実と過去が、一本の線で結ばれたようだった。



お嬢ちゃんをはじめ、霜月香代さんやその家族の何人かは、名前が丸く囲まれていた。

霜月先生と息子の弘清さんには、何も印がない。しかし、性別は関係なさそうだ。


それと引っかかるのは、名前の下の括弧に囲まれた数字。


……二十。二十五。


最初は生年かと思った。けど、違う。

これは死亡した年齢だ。



「この丸で囲まれた人は、なんですか?」


「魔術を引き継いでしまった方々の名前です」



この図の不思議なところは、兄弟姉妹は結構多いのに対し、未婚率が高いところだ。

魔術を引き継いだ未婚者は、性別問わず二十歳で絶命している。


けど、結婚した女性はもっと長生きしている。二十九歳、三十五歳……。


……違う。何かが、決定的に。



その違いが、お嬢ちゃんの生死を分けるのだとしたら――俺は、絶対に見落とせない。



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