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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
第7章 自意識

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第11話 好みの体型


しばらくするとお嬢ちゃんが戻ってきた。



「ユウナさん、聞いてください! あのパン、外はカリカリで中はふわふわなんですよ。それに、はちみつがまた……!」



顔を赤らめ、目を輝かせながら、パンの厚みを再現するように手で形を作っている。あまりにもかわいらしくて、思わず見とれてしまった。



――近年、パンが普及してきたとはいえ、一般人が気軽に食べられる店はめずらしい。


それに、あの店の厚切り食パンは別格だ。

外はカリッと香ばしく、中はふんわりとろける。しかも、好きなはちみつを選んでかけられるという贅沢さ。


以前、店主が「わざわざミカヅチまで来るお客さんもいる」と得意げに話していたのを思い出す。



「今度、千絵ちゃんとも行ってみます」


「学校からそんなに離れてないしね。いいと思うよ」



お嬢ちゃんの親友の倉石千絵ちゃん。


まだ顔をお目見えしたことはないが「すごい美人なんです」と、お嬢ちゃんが絶賛していた。きっと、二人が並んで歩くだけで目を引くだろうな。



カグツチ村よりもさらに山の方にあるツクヨミ村出身ということで、学校の寮で生活しているらしく、寮の周辺で遊べると都合がいいとのこと。

我が家にいるお嬢ちゃんは、どこに行くにしても遠くなってしまうのが難点だが。


以前遊びに行くと言った日、傘に乗せて送迎しようかと聞いたら、首を全力で左右に振られてしまったっけ。飛んで行くのが恥ずかしかったのかもしれない。



「お店の情報詳しいですよね。どこで見つけてくるんですか?」


「調べたりはしてないな。仕事で時間空いたら散策するって感じ。時間の使い方を自由にできるのが、自営のいいところだから」



その代わり、事務とか経理は全部しなきゃいけないけど。夢が壊れるかもしれないから言うのはやめておこう。



「……外食している割に太っていませんね。うらやましい」


「まあ、鍛えてますから。それより、きみはもっと太っても問題ないと思う」



俺から見たら痩せすぎだ。

初めて会ったときは、叔父一家に食事させてもらえなくて、がりがりだったし。



「うーん……それはちょっと……あ、もしかして、ふくよかな女性が好みなんですか?」


「ち、ちがっ! 違う!」



思わず素っ頓狂な声を出してしまった。


自分でも、なんでこんなに慌てているのかわからない。心臓がちょっとだけ早く打っていて、それが余計に、落ち着かない。



「いや、別に……体型とか……その、どうでもいいっていうか……」



何言っているのかわからなくなってきた。


……落ち着け。冷静に訂正すればいいだけの話だ。


――なのに、口が動いてくれない。



しどろもどろになる俺を、お嬢ちゃんは目を丸くして見ていた。




***




ねえさまと梅ちゃんが戻ってきたところで、自分も昼休憩に入った。行き先はもちろん、お嬢ちゃんに紹介した店だ。



建物を出て背伸びをする。


真上に太陽が来ているせいで頭皮どころか顔が熱い。そのせいか、さっきのお嬢ちゃんの言葉がまだ耳に残っている気がした。


俺がふくよかな女性を好きだと、どうして思ったんだろう。あまりにお菓子とか勧めるからか?



……もしかして……いや、でも……どこかで意識しているの、バレてる?

それとも、俺のこと、そういうふうに見てるってことか?


……それは考えすぎだろ。


悶々とする中、自分が降らせている幻覚のひまわりが肩に当たって消えた。



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