表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

180/194

第19話 調査の進行


不安が足元からゆっくりと上昇し、身体を震わせた。



「……飲み込まれているって、どういうこと?」



声がかすれていた。思わず喉を手で押さえる。



人間が、精霊に取り込まれる?

まるで器のように、入れ替えられる?


想像するだけで、胃の奥がきゅっと痛んだ。



まさか……先生や研究員たちって……。



「その人たちは……まだ生きている?」



言葉がかすかに震えて、語尾は情けなくぼやけてしまった。



「生きてるよ。首都ミカヅチにある本省の研究室にいる」


「そうか……よかった」



体の力が抜け、雨が降っているにも関わらずその場にしゃがみ込んだ。膝が、おもしろいくらい震えている。

そんな俺には構わず、ルネは首を傾げながら顔を覗いてきた。



「現在のその人物たちの記憶を読むと、今は、遺体に入れるための精霊を呼び出そうとしている」



やはりその実験をしていたのか。


舌打ちし、立ち上がった足でその場所をなぞる。



該当者の名前を教えてもらうと、行方不明になっている研究員のことだと発覚した。



霜月先生、霜月弘清、研究員六名の計八名を精霊の魔法で飲み込み、まるごと移動させたと思われる。


その場にいた八名以外の人間は、お嬢ちゃんと、あの大臣だけ。お嬢ちゃんは火属性特化型なので、十中八九、大臣が呼び出した精霊の魔法だろう。



「いや……待てよ」



眉間にしわが寄る。


魔法の使えない人間が、精霊とやらを召喚できるのか?

いや、先生に新たな実験をさせて、魔力の移植が成功していたとしたら……?


それなら説明がつく。



何を考えているのかお見通しらしい小さなカラスは、また首を振る。



「人間は五歳までに魔力の発生が認められない場合、どのような手段を用いても魔力は身につかない」


「そうか……」



「精霊が好意で人間に手を貸している場合はあるけど、魔力の持たない人間に懐く精霊は早々いないね」



調べれば調べるほど疑問が出てきて、めんどくさい。こんなに大変な仕事になるなら、最初から断ればよかった。


――でも、もう無関係ではいられない。

霜月優香がいるから。



雨足が強くなってきた。


ヘルハウンドに「このことは内密に」とルネが釘をさしてから、研究所の残骸から離れる。


長靴を履いていてよかった。草履なんか履いていたら、雨に濡れて冷たくなった足が紫色になっていそうだ。



「さて、帰ろうか」



ここでは、大臣がなんらかの方法で精霊を使役していることと、その場にいた霜月清輝、霜月弘清、研究員六名は確実に生きていることがわかった。



一番すぐに会えそうなのは、弘清さんか。

……状態がわからない以上、無闇に動いても仕方ないな。


カッパの下に隠していた和傘に腰掛け、自宅の方角へと指を向けた。



疲れた。さっさと帰りたい。


濡れた地面を蹴り、家路を急いだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ