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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第16話 雨の魔法


だけどもう――やるしかないか。


今夜、研究所に向かおう。



霜月弘清が生きている。


そして神屋新が、霜月優香がこの家にいることを知っているであろう今、調査を進めていきたい。


……きっと、見張りの獰猛どうもうそうな犬の魔法獣がうろついているはずだ。だが、前回のように何もせず引き返すつもりはない。



空を見上げる。


今日は一日中くもりだが、お嬢ちゃんには念のため傘を持たせている。駅までの道も長いし、帰り道も遠いから。


それが役に立つとは思わなかった。

なぜなら今から雨を降らせるからだ。



「そぞろ雨」



小さくつぶやいた途端、空気がひんやりと湿り気を帯びた。


しばらくして、池に一粒の雨が落ちる。

次いでもう一粒。


ぽつ、ぽつ。


やがて、それが途切れなく降り続く雨になった。



人の匂いや足音、さらに視界も悪くなれば、あの魔法獣に勘づかれにくいだろう。水や風属性魔導士じゃないのに空を操るなんて、神様の真似事みたいだ。


言霊が、足りない想像力を補ってくれるおかげで、ある程度のものなら出せる。

蝋燭ろうそくに灯す小さな火とかは無理だったけど。


属性魔法は使えないのに、気候は操れるなんておかしな話だが。



今日、ソラは置いて行こう。もし襲われて噛まれでもしたら……。


想像しただけで、胸がぎゅっと締めつけられる。



足元にいたソラは、俺の足の甲に肉球をそっと乗せた。用事があるときの彼の癖だ。



「……優香、今、外で授業してないといいねえ」


「やべっ! 忘れてたわ!」



雨を降らせたことは黙っておくことにしよう。もしお嬢ちゃんが「授業中に突然雨が降ってきた」なんて、万が一そんな話をされたら、どう誤魔化そう……。


胸の奥に、どこか後ろめたいような、小さな針で刺されたような痛みを感じた。



ご機嫌とりに、おいしいものでも作っておくか。



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