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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第13話 消息の輪郭


……は?


今、この人、なんて言ったんだ?



那智は“光癒みつゆ”、陽菜は“氷原”。

二つ名は、魔導士の中でも極めて優秀な成績を収めた者にしか与えられない、まさに特別な称号だ。


そんなものが……俺に?



魔法大臣及び副大臣だけが二つ名をつける権限を持っている。最高官庁の課長と同じ地位が与えられるらしい。


地位とか正直どうでもいい。

一生その権利を行使することもないだろう。


でもまあ、すごい話ではある。

うれしい、のか……?



でも、今から努力しようって思ったばかりなのに、もう二つ名があるって。

なんというか……出鼻をくじかれたみたいで、複雑な気持ちになるな。



「驚くのも無理はない。だが、神屋大臣と水木副大臣が決められたことだ。発表していないだけで存在するのは間違いない」



「なんなら副大臣に電話しようか?」とか言い始めて、連絡するために店員さんに声をかけそうになったので慌てて止めた。


そんな、友だち相手のような調子で、魔導士界の二番目にえらい人間を呼び出されても困る。



「急に辞めると聞いたものだからね、二つ名を授ける瞬間を逃してしまったのだよ」



官房長官は肩をすくめ、どこか残念そうに笑った。



「申し訳ありません……」



しかし組合を辞めた手前、そんな大それたものをもらってもいいのか?


質問すると、まったく問題ないと頷かれた。

聞いたことのない、鈴木官房長官が言うその名を心に刻む。


これはまた……とんでもないことになったかもしれない。



「ああ、そういえば聞きたいことがあったのだよ。霜月さんの娘は元気かね」


「……我が家にいることを、ご存知だったのですか?」



思わず声が上ずった。


官房長官が知っているなら、当然、神屋大臣も……。



もしかして、火災の調査のことも知られている?

これまで内密にしていたすべてが、すでに筒抜けだったのか?



いや、まさか――泳がされていたのか、俺は。


胸がざわつくのを必死で抑え、深く呼吸をして気持ちを落ち着けた。



もしそうだったとしても、お嬢ちゃんが受け継いできた魔術を解除するのは変わらない。大臣の狙いがなんであれ、真実を突き止めるのをやめるつもりはない。


決意を固め、口を開いた。



「彼女はとくに病気もせず、健康的な生活を送っています。勤勉でまじめな娘さんですね」


「聞いておいてなんだが、実は娘とは関わったことはないんだ」



官房長官は苦笑し、茶碗を軽く回した。



「弘清くんは、霜月さんによくくっついていたから何度か話したことがあってね。()()は、妹は元気にしているかと心配していたから、きみに尋ねてみたのだよ」



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