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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第11話 美麗の和菓子


――それも大事だけど。

やっぱりどんな和菓子が出てくるのかも気になる。


期待に胸を膨らませてそわそわしていたら、「それで」と声をかけられた。



「治療の価格はいくらかね」


「えっと……二十銭くらいですかね」※



本当は適当だけど、これくらいなら負担にならないだろうと思った。


「店員が来る前に頼むよ」と言いながら、なぜか一円を渡された。



「えっ、いやいや、多すぎます!」



慌てて突き返そうとするが「口止め料込みだ」と、官房長官がにこやかに笑う。


ありがたく頂戴し、今あるカツラと同じ髪型と量を想像し魔法を使った。ちゃんと髪型を指定したらそうなってくれたようだ。



ただ生えてほしいと祈って、魔法を使った花房さんの髪は落ち武者みたいにすごいことになってしまったから、あとで直してあげよう。



「おお! 本当にすばらしいな!」


「気に入っていただけたのなら幸いです」



よかった。すごくうれしそうで。



「いやあ、これで孫にバカにされなくて済む」



官房長官が自分の髪を引っ張り、満足そうに笑った。





世間話を軽く交わしていたときに店員さんが部屋に入ってきて、注文したものを二人の前に静かに置いていかれた。



鈴木官房長官の前に置かれた、黒塗りの丸い抹茶碗に入った甘酒からは、華やかな香りが漂ってくる。


みつまめは一つ一つに何か塗ってあるかのように、部屋の灯りに照らされきらきらしていた。


二品とも見た目だけでなく、その香りにも心を奪われた。



こちらに置かれたのは、今日の浴衣の柄に合わせてくれたであろう、白く塗られた抹茶碗に緑色の竹が描かれたものを出してくれた。

鮮やかな青緑色の薄茶はきめ細かい泡に包まれているにも関わらず、抹茶独特の香りが感じられる。


上生菓子の一つは、花びらの重なりまで精巧に再現された『牡丹』。

もう一つは『宵蛍』。ざるでこした緑の生地に小豆が一粒、その端に金粉が控えめにきらめいている。


なんて見目麗しい品々だろうか。

お嬢ちゃんに見せてあげたかった。いや、彼女も連れて来た方が早いか。



どちらも、見ているだけでため息が出るほど美しい。洗練された甘味を前に、思わず息を呑んだ。



「とても上品ですね。口に入れるのがもったいない」


「わからんでもないが、出された今が食べ頃だ。ずっと見続けるのもいいが、それを逃すのはもったいないと思うがね」



「……それもそうですね」



たしかに、もったいないなんて言ってる場合じゃないな。





※ 二十銭は、今の値段にすると約四千円



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