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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第9話 予想外の展開


「花房さん。髪を軽く引っ張って、ちゃんと生えているか確かめてもらえますか?」


「あ、うん……」



髪を束にして掴み、引っ張っているが問題なさそうだった。



『やってやりました』みたいな表情で振り返る。


官房長官は、驚いて眼球が飛び出すんじゃないかと思うくらい、目を限界まで広げて呆然としている。

一方その横で、花房さんは喜び、軽く弾みながら長い髪を振りまくっていた。



踊っている花房さんを視界から消して、玲さんに目配せする。



「それぞれの町に行って、薄毛相談室を設けて治療していくというのはどうでしょう?」


「おお、いいんじゃないか? これからもっと忙しくなって、時間も取れなくなりそうだなあ!」



「そうですね。 ここに来ることも今日で最後かもしれませんね」



これだけ煽れば十分だろう。


官房長官の拳が小さく震え、目がさらに見開かれた。まるで言葉が出ないのを必死に堪えているかのようだ。



……怒らせたか?



「……なるほど、すばらしい技術だ」



あれ、意外。



「ありがとうございます」


「今日は本部が襲撃に遭ったというから様子を見に来ただけだ。それでは、これで失礼しよう」



これはまた意外だった。


怖いとか、俺に嫌悪感を抱いているとか聞いていたせいで、この人にいい印象はなかった。


……でも、意外と話せる相手かもしれない。

ただ、油断は禁物だな。



官房長官が立ち上がり、耳元でこそっと


「本部から出たら『茶房 和庵なごみあん』に来たまえ」


と言われたので軽く頷いておいた。



そのまま去っていったのを見届けたあと、玲さんと目が合う。互いに無言のまま、バシッと手のひらを打ちつけた。



「やりましたね」


「ああ、やったな」



小声で言い合い、肩を叩き合う。張り詰めていた緊張が弾け、思わず笑いが漏れた。


冗談抜きで、薄毛相談室を開く羽目になりそうだ。

……これはこれで、新たな需要かもしれないな。



生えた髪を振り乱してうれしそうにする花房さんに目を向ける。


組合員時代、事務仕事たくさん教えてくれた花房さんへのお礼にはなったかな。彼のおかげで今、個人営業が問題なくできているのだから。



周囲の人たちも緊張から解き放たれ、その反動で一層な賑わいを見せた。



「ああいう人ほど、意外と口が軽いかもしれん」


「え? そうですか?」



「驚いた顔を見ただろう? 見た目に反して感情が表に出やすいのかもしれん」


「なるほど……では、気取られぬ程度に」



ちょっと、難易度高そうだけど。

――それでも、やってやれないことはない。


俺なら、きっと。



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