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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第8話 将来への光明


お茶が運ばれるのを見届けたあと、口を開いた。



「つまらないことですが……わたくしの魔法で、薄毛治療ができるということが判明しまして」



湯呑みを持つ手が止まる。


――よし。興味が湧いたようだ。



官房長官は年齢の割に毛量が多く見える……が、それは上手に作られたカツラではないかという噂があった。どうやら事実らしい。



「周囲に髪の悩みを抱えた方がおられなくて、本部に立ち寄らせてもらいました。もしかしたら、困っている方がいるのではないかと」



周囲に髪の悩みを抱えた人間がいない?

……いや、さすがにそれは言いすぎたか?


官房長官が眉をひそめたりしたらどうしよう。



――回復ができる属性は光と闇。

那智と同じ光属性は、怪我と魔力の回復ができ、闇属性は病気の緩和と状態異常を回復することができる。


薄毛治療はどちらにも当てはまらないみたいだから、魔法での回復はみんなが諦めてきたことだろう。



それがもし、解決できるとしたら?



若い頃はいいが、年齢を重ねた自分の髪の毛を案じなかった男はいない。



口からの出任せだけど、俺の頭皮が寂しくなったときのためにぜひ身につけたい技術だ。


しかし……本当は薄毛なんて治したことないけど、どうしよう。



にこにこと、対人向けの笑顔を絶やさず横に立つ玲さんが、誰かに手招きする。やってきたのは、頭頂部が薄くなってきたのが嫌で坊主にしている花房さんだ。


……まさか実演しろと?



一瞬、頭が真っ白になった。


冗談じゃない。俺は魔法で薄毛治療なんてしたことないんだぞ……!



「どうだユウナ。鈴木官房長官の前でやってみては」


「……ええ、ぜひ」



髪の伸び方なんて知らない。どうするんだ。


一世一代の危機に、脳内の俺が混乱して転げ回っている。



……髪の九割以上はたんぱく質だと聞いたことがある。

花房さんの毛根にたんぱく質を流せばいいのか?

そんなことで今すぐ伸ばすのは不可能だ。


ええいままよ。

高校時代に言われた霜月先生の助言を信じよう。



花房さんの頭に手をかざした。



「――生えろ」



手のひらから、淡い金色の光が滲み出た。まるで春の陽射しのように、静かに花房さんの頭に降り注ぐ。



「うわあっ!?」



しゃがれた悲鳴とともに、頭皮から黒い髪がつたのようにうごめきながら生えてくる。


肩を越える長さにまでなった頃には、場にいた誰もが言葉を失っていた――。



……すごい。


難しいことは一切考えずに、ただ生えてほしいと念じただけで実現した。



霜月先生……卒業してから、やっと、やっとみんなと同じように魔法を発動できましたよ!


胸の奥がじんと熱くなる。

今は焦りと驚きが勝っているが、あとから涙が出そうな気がした。



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