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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第5話 関係者の行方


金炎は心の奥底にある強い感情を核にして発動する、極めて不安定な魔術だ。錯乱状態のまま遠くに移動するなんて、まず無理だろう。

となると、別の誰かがそこに霜月優香を置いていった?


……なんのために?



現場にいた、飯島のような組合出身の研究員の判断で、安全な場所に飛ばされた――とも考えられる。



調査のため、ワタツミ街をそれとなく見て回ったりしてみたことがある。

役場の辺りは道路が綺麗に整備されていて、朝から散歩する人がそれなりにいた。


……もしかして、わざと人目につく場所に放置して、誰かに彼女を保護してもらおうとしたのか?



「夜中なら、誰にも気づかれずに娘を運ぶのは難しくない。……ただ、気になるのは、火災を起こした張本人(霜月優香)が外に出されて、同じ場所にいたはずの人たちが行方不明になってるってことだよ」



たしかに。


霜月先生や兄の弘清さん、何人かの研究員は未だに行方がわからない。大臣によってどこかに連れていかれたのだろう。


今ある情報だけだと……そうだな……



「大臣が霜月優香を人質にとって、“精霊を死体に入れる”実験をするよう脅迫。精神的に追い詰められた彼女が、魔術を発動……その後、協力してくれそうな人間だけを拉致して、必要なくなった彼女はお外にぽい、とか?」


「今はまあ、その線が濃厚か。大臣は魔法を使えなかったはずだが……霜月優香を役場に移動させた方法がわからん。あの娘に“何か”を見られたから記憶を消したのだろうが……機械も使わず、魔法も使えないのにどうやったのか……」



二人で腕を組み、首をひねる。


ちらっとこちらを見ないでほしい。『おまえならできるんじゃないか?』って顔に書いてある。


「まあそれは後回しだ」と、次は大臣についての調査資料を出される。



神屋かみやあらた、年齢は五十八。二十八歳で魔法大臣に就任し、魔導士協同組合を設立した。今じゃ、知らない人間がいないくらいの大物だ。魔導士が頼れる存在として認められたのは、この人のおかげだろうな」



この人がいなかったら、魔導士たちは力を持て余し、今よりもっと治安が悪くなっていた。

役割を与えられることで、一般人からは『不可思議な力を使う危険な輩』という恐怖の対象から、『その力で人助けしてくれる頼もしい存在』として確立することができた。



俺がこの国に住み始めたときにはもう、組合の存在があったから平和に過ごせたと思う。


その点に関して、大抵の魔導士は感謝していることだろう。



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