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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
6章 判明

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第3話 静寂の祝福


八意やごころ高校を越え、町の中心部にあるミカヅチ本部にやってきた。


ミカヅチ本部は煉瓦造りの立派な建物で、まるでお伽話に出てくる城のようだった。かつては廃れた教会だったらしいが、今では魔導士たちが集う施設となっている。



木の扉を押して開き、中に入った。

足を一歩踏み入れた瞬間、周りにいた本部の人間がはっと息を呑んだ。


「え……」と、誰かが声を漏らす。



空気が張り詰め、場の全員がこちらを見つめてくる。全員の視線が突き刺さるように感じたけど気にせず、受付にいた花房さんに声をかけることにした。



「……お久しぶりです。玲さんいますか?」



そういえば……春頃、お嬢ちゃんの買い物の付き添いを頼むとき。花房さんに、依頼内容を伝え忘れて驚かせてしまったな。

急に俺が、友人二人に依頼したいだなんて言うから。


今さらそのことを謝るのも変だし、やめておこう。



「はいはい。ちょっと待ってねー」と玲さんを呼びに行ってもらった。



二年前、金の炎を入れた瓶を運ぶために作った汽車のおもちゃが、今も受付の横に飾られていた。


那智の冗談かと思ったら……本当に気に入ったんだな、これ。



待ちぼうけを食らっている中、未だに静かな本部内。


……何この空気。



気まずくなり、思わずため息をついた。



「……まだこの文化あるんですか」



そう呟いた。

すると突然、その場にいた全員からもみくちゃにされて、熱烈歓迎を受けた。


「元気だったか?」とか「最近活躍してるな」とか、いろんな会話が飛び交って対応できない。湿気が相まってうっとうしさがすごい。



――サイレントトリートメント。


野球の新人が活躍したとき、始めはよそよそしい態度をとり、その直後手荒い祝福をするという儀式……というか冗談だ。

国外の人らが野球の試合でこれをやっていたらしい。


野球が好きだという誰かの影響から、ミカヅチ本部もなぜかその文化があり、引退勢が遊びに来たときにやられる。


辞めてすぐ忘れ物を取りに来たときに初めてその洗礼を受け、何をやらかしたかと緊張したものだ。



「おーい、ユウナ! あれ……見えない」



遠くから玲さんらしき人の声がするけど、どこにいるのかわからなかった。


ああ、もう!

長いって!


しばらくして、ようやく解放された。



「やっと終わった……」



これ、全然慣れない。


周りの人たちは満足そうに頷きながら散っていき、空気は落ち着きを取り戻した。



そこでやっと責任者の姿を捉えることができた。今日も変わらず白いシャツと黒いズボン。


「服選びが面倒だから、同じやつを何枚も買っている」なんて言ってたけど、もはやそのこだわりがすごい。



今日、金髪は全部髪留めでまとめてあるが、毛量が多く、限界まで使われている髪留めの先端は何本か折れてなくなっていた。


……いつも通りの無頓着さ。

というか、それで髪まとめきれてるのがすごい。



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