第2話 早期の解決
二人か。
そういえば、玄関先に男物の草履が二足あったな。
「どうも、こんにちは」とでも言うような軽い気持ちで扉を開けると――
「うわあっ!」と、二人は叫び声をあげた。
突然現れた俺に驚いたらしい。
音しなかったしな。
「お前! さっきの!」
「こいつ魔導士か!?」
「はい、そうです。それではおやすみなさい」
言霊で男二人を眠らせ、手早く部屋を確認。
寝室に閉じ込められていたのは、老夫婦と、一人の若い女性だった。
この人が依頼主の嫁さんかな。
三人とも手足と口を拘束されている。
いきなりやって来たから警戒されたようで、鋭い目つきで睨んできた。
「――救助が遅くなり申し訳ありません。魔導士の利他ユウナと申します」
指を鳴らすと、空気がわずかに震えた。次の瞬間、縄がするすると勝手にほどけていく。
怪我はなさそうだが、手首に縄の跡が残っていて痛々しい。だけど、これくらいなら医者を呼ぶ必要はないな。
「あ……ありがとうございます……!」
「警察の方に連絡をお願いします。用事があるので、これにて失礼いたします」
玄関に向かう途中の床に転がる男たちを縄で縛り、先ほどいた家に戻る。
男性に、救助完了を告げたあと報酬をもらって出て行った。
ミカヅチ本部に向かう途中……大きな風呂敷包みを抱えながら走る、先ほどの男性にぶつかられた。
風呂敷の中から大量の金が飛び出てきて事情を問いただしたら、実家に帰った嫁さんを人質にとられているということだった。
たまたまとはいえ人助けができたし、お金も入ったから、まあよしとしよう。
こんな偶然でも、意味があったのかもしれない。
分厚くなった財布を懐にしまい、歩き出した。
今日の目的地である組合本部に向かう道すがら、六月のじっとりした空気が肌にまとわりついてきた。
気温は高くなかったが、少しでも涼しく感じられたらと思い、白地に水色や青の竹が描かれた浴衣を選んだ。帯には黒色の半幅帯を。
相方は、今日の湿気でやる気がないとお留守番。寂しいけど、仕方ない。




