表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
5章 化物共

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/194

第55話 追い風の希望


お嬢ちゃんは暖炉の近くで、オオツチ支部の魔導士と一緒になって、火の魔法の講義をしていた。

組合員が、光の粒のような無数の火の粉を出しながら何かを説明し、彼女がその火を再現しようとしているらしい。


その近くの椅子に座る白猫が、たぶん話をちゃんと聞いていないくせに、いかにも物わかりがよさそうに頷いている。



その光景に思わず口元がゆるんだ。


ほっこりするな……あの組み合わせ。



そこに那智が乱入して、最初から聞いていましたという体で話に加わる。



俺は講義の輪から少し離れた場所で、ただ黙ってその様子を見ていた。


気づけば、玲さんが静かに隣に立っていて、俺の視線の先を見つめながら、ぽつりとつぶやく。



「霜月さんの娘、いい子じゃないか。大事にしろよ」


「そうですね」



あの子にかけられた魔術を解いてやりたい。

だけど、神屋魔法大臣に勘づかれないよう慎重にならなければ。

それに、あの火災の原因――あれも大臣と関係がありそうだ。


二の足を踏んでいる場合じゃない。



「玲さん。鳳さんと連絡がとりたいんですけど……」


「魔術とやらについてか。わかった。なんとかしよう」



ワタツミ支部で手に入れた調査結果の写しと、自分がまとめた調査資料を郵送すると伝え、楽しげに話す彼女の元に向かった。



「そろそろ行こうか。帰りにお菓子でも買って帰ろう」


「はい。何にしようかな……」


「うん、行こー」



ソラが肩に乗ってくる。



その場にいた人間に別れを告げ、駅に向かう道すがら、駄菓子屋に寄った。



「いっぱいありますね。どれにしよう……」



うーんと首を傾げて真剣に悩む彼女に目を奪われながら、自分用と妖精二人の分を適当に選んでいく。



「あ、そうだ。今日天気もいいし、帰ったら田んぼ仕事あると思うけど……疲れてるなら休んでていいよ。せっかくの連休だし」


「大丈夫ですよ。朝食作った罰ですから」



お嬢ちゃんが微笑んだ。

頭の上で「ぼくは家でごろごろする仕事がある」と、ソラからは不参加を告げられる。


まあ、着いてきてもこの子はすることないけどさ。



――俺が言霊を使ったせいだけど、清々しい晴天だ。

穏やかに吹く風が背中を押してくれているように思えて、不思議と胸が軽くなった。


これまでの不安や、彼女の魔術に対しての無力感が、ほんの少しだけ遠のいていくようだった。


ちゃんと前に進めている。そんな気がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ