表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
5章 化物共

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/194

第43話 最初の質問


熊山さんの裏の顔とか、ありもしない秘密の任務とか、そんなことを考えていたせいで、男が目の前に来ているのに存在を忘れてしまっていた。


……しまった。今、完全に気を抜いていたな。


バツが悪くて、目を逸らす。



彼はやさぐれたような、疲れていますと言いたげな表情でため息をついた。


また同じ質問をされるのだろうと思っていそうだ。残念ながら、その期待には応えられそうにない。



「突然お呼び立てしてすみません。昨日は名乗る時間がありませんでしたので、先に自己紹介を。カグツチ村で魔導士をしております。利他ユウナと申します」


「あんたが……! そうか……なるほど」



驚いているのか、納得しているのか。

どちらともつかない反応に、思わず首を傾げた。


まあいいか。



椅子に座るよう促し、自分も向かいに腰掛ける。そして懐から、嘘を見抜くために作った丸眼鏡を取り出した。



「この丸眼鏡、俺が高校の自由研究で作ったものなんですよ」


「知ってる。霜月所長がそいつを分解して解析してたよ。すごい学生がいるってはしゃいでたわ」



当時を思い出したのか口元には笑みを浮かべる。


分解……なるほど。



飯島からしたら、俺は敵であるはずなのに、こうして普通に笑うんだな。

なんだか拍子抜けする。



「心配しなくても、嘘はつかん。あんたが優香ちゃんを大事にしてるってわかったからな」


「おそれいります」



眼鏡を片付けた。


ちらと、鏡の向こうにいる三人に笑いかける。

「ではさっそく」と言って、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみる。



「あなた、あれだけ動けるのに……なぜ研究員をしているのですか? 組合で働いた方がよかったのでは?」



昨日の戦闘を思い出す。

あれほど戦闘慣れした研究員がいてたまるか。仕事なくなるわ。



「……へ? あーっと……そうだな。実は、元々組合員だったが、所長に引き抜かれたんだよ」



すべての組合には、何かしらの研究や実験をする研究員が存在する。

二年前の火災の原因となった金色の炎も、ミカヅチ本部直属の研究員が調査した。


で、当時組合員として働いていた飯島は、人手が足りないということで研究員たちの手伝いをしていたとのこと。

たまたま来ていた霜月先生に、その働きっぷりが気に入られたらしく、そのまま研究員として雇われた。


要するに、この人は器用だったわけだ。



「なるほど。ずっと気になっていたんですよね」



疑問が晴れて、なんだか肩の力が抜けた。



「いやあ、すっきりしました。ありがとうございます。これで知りたいことの半分くらいは解決しましたね」


「あ、ああ。よかったな……」



『聞きたいことの半分がそれ?』みたいな、ちょっと引いた顔をしないでほしい。

俺にとっては本当に気になっていたことなんだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ