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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
5章 化物共

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第39話 少女のあだ名


妖精たちは夜の散歩に。

ソラはふかふかの枕の上に転がっていたら、あっという間に眠ってしまった。



真っ暗な部屋の中、布団の上に寝そべる。

体調が悪かったとはいえ、昼間あんなに寝たせいで全然眠くならない。頭だけが妙に冴えている。


久しぶりの戦闘を思い出しては、胸の奥がじわじわと熱くなった。



ごろごろと寝返りを打ちながら、ぼんやり天井を見ていた。


いっそ徹夜して、この周辺網羅しに行こうかな。



「……眠れないんですか?」



暗がりの中、襖の向こう側から控えめな声が耳に届いた。


うるさかったかな。

迷惑をかけたかもしれない。



「うん、まあね」



襖がそっと開けられ、敷布団を引きずってきた。そのまま隣で寝転がり、何か言いたげな表情でこちらに視線を向けてくる。



「よかったらお話ししませんか」


「俺でよければ」



いつもは頭一つ分低い目線が同じ高さにあるのは、不思議な感じがするな。


……顔がこんなにも近い。



「明日、飯島さんに取り調べするんですか?」


「取り調べ自体は終わったらしいんだけど、関係者だから一応、ね」



玲さんから話を聞いてだいたい把握はしているけど……本当に知りたいのは、あの火事のことだ。

どうにかしてでも喋ってもらう予定――と言ったら引かれるから黙っておく。



「……わたしも、飯島さんに話したいことあるんですけど、いいですか?」


「時間はとってあげられないかもしれない。でも、収監前なら少しだけ会えるよ」



それでいいと頷いた。



実の父親のようにかわいがってくれたと言っていたから、飯島が襲撃犯だとわかったときにはさぞ落ち込んだだろう。


何か声をかけた方がいいかと悩んでいたとき「あの、話変わるんですけど」と言ってきた。



「……なんでいつも『お嬢ちゃん』って呼ぶんですか? わたしもう高校生ですよ」


「いやあ……高校生に見えなくて」



出会った日、女学校の制服を着ていたのが強い印象として残っているせいかもしれない。

背が極端に低いわけではないが。


高校生っぽくないところはほかに、なんだろう?

顔が小さいから……とか、あとは大きな垂れ目も幼く見えるところだ。



「なんていうか……童顔、だよな。お嬢ちゃんは」



彼女はなぜかむっとしていた。


たまに、小動物みたいに見えるときがある。

……まあ、それがかわいいんだけど。



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