表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
5章 化物共

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/194

第25話 動機の推測


今回の事件および、うなぎ事件の犯人である飯島徹の事情聴取は完了したそうだ。


オオツチ町は俺の魔法ですべて修復されたので、とくに手を加える必要はなかったらしい。

避難していた町民もそのまま元通りの生活に戻ってもらったとのこと。


この病院の待合室は戦闘で破壊されてしまったから、その部分は立ち入り禁止になっているそうだ。



「あの鹿たちに異常はなかったから、そのまま山に帰したよ」


「投与された薬はどうなったんですか?」



「元の大きさに戻ったとき、液体の塊が体からすり抜けてそのまま地面に落ちたって。それの回収はできなかったが、まあ、ユウナが瓶に詰めた薬があるから問題ない」



よかった。

そのまま動物の体内に残っていたらどうしようかと。


「飯島のことだが……」と話し始めたので、再度耳を傾ける。



「研究所がなくなったあと、次の職場で邪魔者扱いされて、むしゃくしゃしてやったんだと」



……むしゃくしゃして、か。

町人の命を危険に晒しておいて、それが理由だと?


胸の奥に黒い塊がじわりと広がる。


そういう言葉で済まされることじゃないだろう。

少なくとも、飯島の目に映っていたものは、もっと別の……もっと重い何かだった気がする。


聴取では嘘発見器の“丸眼鏡”を使われるから、偽りの供述はできない。



――ふと、飯島が「説明できんが、これは優香ちゃんのためでもあるんだ」と言っていたのを思い出した。


まさか……?


とある考えがよぎり、この場で頭を抱えたくなった。


でも、俺の推測だしな。やっぱり当人に直接聞かないと。



玲さんは「さて」と、短いため息をつき、机に置いていた雑誌を片手に立ち上がった。



「あ、待ってください。個人的に飯島徹に聞きたいことがあるので、明日聴取していいですか?」


「立会人必須だけど、いいか?」



二年前の火事について目の前で見ていたと思うから、話を聞きたかったが……立会人必須か……。


火事の件を調査していることは知られたくない。

あれを組合員に聞かれれば、依頼を打ち切られるかもしれないからな。


だが、こればかりは仕方ない。



「ミカヅチ本部の方が立会人なら」


「んー。わかった、伝えとく。お大事に」



扉を開ける直前、振り返った玲さんが小さく言った。



「……あんまり、自分を追い詰めるなよ」



手をひらひらと振り、病室から出ていった。


……あの人、透視能力でもあるのか。


緊張の糸が切れ、長いため息をついた。



忙しい人なのに、申し訳ないことしたなぁ。

でも……あの火事のことは、やっぱり確かめないといけない。


全部明日の自分に丸投げしておこう。

今日は無理したし、布団にもぐってもう少し休むか。


……そういえば、ソラとお嬢ちゃんは?

結構ひどい傷を負っていたが、彼女は大丈夫なのか?



「ソラ、どこ?」


「箪笥だよー」



病室の隅から、もこもことくぐもった声がした。

引き出しを開けると、白いタオルの上に白い猫が丸くなっている。



「……同化してるよ」



どうやって忍び込んだんだよ。まったく。


思わず気の抜けた笑いが漏れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ