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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
5章 化物共

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第9話 覇者の覚醒


襲ってくる相手を凍らせながら、陽菜がこれまでの経緯を説明してくれた。



「オオツチ支部から、攻撃魔法が効かない巨大生物が出たって連絡が来てさ。じゃあ、魔法を無効化する結界張ってあるんじゃないの?って」


「ああ。だから、橋下さん連れてきたのか」



今日の仕事の参加者である、橋下 美桜みおさん。ミカヅチ本部唯一の結界魔導士の手にかかれば、結界は簡単に解除できる。



「でも、結界なんて張られてなかったんだよね」


「……それは厄介だな。原因がわからないのが一番まずい」



橋下さんも一応、解除魔法を試したらしいが、そもそも結界が張られていなければどうしようもない。

困っていたときに、ワタツミ街で似たような事件を解決したのが俺だと聞いて、今回呼ばれたらしい。



「物理系効くのかなって思って、槍とか銃とか使ってみたけど全然だめ」



あれだけの大きさだと、さすがにかすり傷程度しかつかないか。

前回、うなぎを捌くのに時間がかかっていたのもそのせいだな。



「うなぎ騒動のときも、ワタツミ支部の人の攻撃効いてなかったな……」



俺とほかの人の魔法は、何か根本的に違うのかもしれない。いつものやり方で魔法を発動させる感覚と、ほかの人が魔法を放つときの様子に、どこか違和感があった気がする。


だが、今はのんびり考えている暇もない。

どうやって、あの巨大な鹿を止めよう?


今日はお嬢ちゃんがいるから、血なまぐさい手段は避けたい。

檻に閉じ込めるのもな……。



正面から突進してきた雌鹿を、陽菜が氷の壁で受け止め、勢いを殺す。


相変わらず惚れ惚れするような展開の速さだ。

一時期『姐さん』と呼んでいたら、叩かれたのを思い出した。



走って逃げているとき、目の前の建物が崩壊し、辺りに土煙が巻き起こる。飛んでくる瓦礫を避けるため、近くにあった高い建築物にみんなで隠れた。



……あー、何か、引っかかるな。


夢の中――いや、あれは高校のときの記憶だ。



霜月先生が『利他さんの場合……だから最初は……』





頭の中で、カチッと何かが噛み合う音がした。




霜月先生の言葉、今日の夢、そして手詰まりの状況。



バラバラだった記憶が一本の糸でつながったような感覚だった。



なぜ、今までこんな大事なことを忘れていたのだろう。

霜月先生はためになることしか言わないのに。



「ちょっと試したいことあるから、みんなここにいてよ」


「あんま無茶しないでよー」



みんなを置いて、背中の差し袋に入れていた傘に乗って舞い上がり、近くにあった建物の屋上に立つ。ここなら、巨大な動物たちを見渡せる。



今日の夢の中……というか高校のとき、『きみは思慮深くて慎重だから、はい、そうですかって素直に受け入れたり、今までのやり方を変えるのは難しいかもしれないね。』



ここら辺の台詞で叩き起されたけど、この続きが重要だった。



『だから最初は、言葉にしてみるのはどうかな。“言霊”っていうのがあるんだけど』と、先生は言った。



『火の玉を出したいなら「火の玉!」って言えばいいよ』



そんな単純なことで?と疑ったが、先生はさらに『きみは理屈にこだわりすぎる。もう少し単純に考えなさい』という助言をくれた。



いつも、頭の中で魔法を組み立てていたけど、言葉に出して発動したことはなかった。


……今までしようとも思わなかったな。



でも、今は違う。

背中を預けられる仲間がいて、守りたい人がそばにいるから。



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