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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
5章 化物共

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第4話 仕事の準備


結局朝食を二人で作り、せっかくだからそのまま食べることにした。



「……利他さんて、結構優しいですよね」



お嬢ちゃんはごはんを食べながら、幸せそうに微笑んだ。



「え? どこが?」



……かわいい子だとは思う。思うけど、蝶よ花よと愛でているつもりはない。

そんな距離感は、俺には無理だ。


手伝ってほしいときは言うし、やらなくていいときは好きに過ごしてもらえばいい。



机の下で食べるソラの皿から、ごはんが落ちた音がした。



「ないしょです」


「ないしょなの……?」



お嬢ちゃんはにっこり笑っただけで答えない。


なんだこのやりとり、こっぱずかしい。



お嬢ちゃんが作ってくれたおかずを口に押し込んで、食事に集中した。





高校生である彼女が連休に入ってしまったので、家で火事調査の資料をまとめる時間がとれなくなってしまった。


それもあるが、外を出歩くおかしな連中が急に増えたのも原因の一つだ。

春になるとどうしてこう、頭のねじがゆるむ人間が増えるんだろう……。



それにしても、と窓の外を見る。


雨のせいで湿気がすごい。寝巻きと肌が張りついた感覚があって不快になる。





食事を終えてから部屋に戻り、箪笥にしまわれている着物と帯を引っ張り出した。

着物は黒地に、左肩から裾まで灰色の線が三本引かれているものを選んだ。

帯は赤地に、桃色の鳥の足跡がついた、少し変わった柄ものを。


羽織は濡らしたくないし、今日は置いていこう。



「優香、今日は何するの?」



着替えを終え、ソラを迎えに台所に戻ったときだった。彼女の膝の上に乗って、しっぽをぷらぷら振っている。



「今日はとくに……ないかな」



「宿題終わったから」と平然と言ってのけたが、連休は今日からのはずだが……?


驚きのあまり質問すると、宿題は徹夜してでも早めに終わらせたい性格らしく、いつも連休の始め頃にやっつけてしまうのだという。



「優等生怖い……」



もはや執念に近い。



「あとでやるのめんどくさいだけですよ……」



今回、早めに渡された科目については、学校の友人と一緒に放課後残って片付けたそうだ。

自分も最後まで残す方ではなかったけど、ここまでがんばれるのは称賛に値する。



「じゃあ、今日の仕事一緒に来る? ユウナがお菓子買ってくれるかも」


「うーん、邪魔になるから……」


「いいよ。どうせ今日の現場は暇だろうし、来てくれたら助かるよ」



俺の話し相手っていう意味で。


そう言うと、お嬢ちゃんは少しだけ考えるように目を伏せた。その目は、ほんの少しだけ揺れて見える。

興味はあるけど、行っていいのか……とか思っていそうな顔で。



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