第27話 秘密の調査
次の紙に目を通す。
爆発の原因調査だ。
霜月優香に魔力を移植したあと、霜月香代が体調不良を訴えた。
その後、閃光とともに爆発が発生。霜月香代は魔力の枯渇により死亡。
そのほか怪我人はなし。
魔力の移植手術で使った機械のみ破壊されていた。
対象が限定されている点は、研究所の火災と似ている……これも『二十歳まで』の魔術だったのか?
ここで報告書は途切れていた。
……やけに短いな。
体調不良と爆発の関係は調査中、ね。調べきれなかったのか。
「次は二年前の火事だね」
あぐらをかいた脚の間にすっぽりと収まって、姿勢よく見ようとしてくるソラに少しだけ癒される。その角度から文字が読めるのかどうなのかわからないけど。
「三月二十日、午前三時頃。霜月魔法研究所で火災が発生――」
ワタツミ街の消防士が活動にあたったが、消火には至らなかった。約一時間後、元ミカヅチ本部組合員の魔導士、利他ユウナが炎を巨大な瓶に閉じ込めることで事件は終息した。
炎の調査は、神屋 新大臣の指示で打ち切りと聞いたが、独自で調査した結果を書き記す……とある。
研究所火災の調査は中止を余儀なくされたと、前に陽菜が言っていた。
それはミカヅチ本部だけでなく、すべての組合に指示が出されたはずだ。それを反故にしてでも調べようとするなんて、結構勇気がある人だったんだな。
この報告書を作った人物の名前は細淵仁英。樺谷さんの前の責任者らしい。
――報告書の続きを読む。
十年前の報告書で、霜月香代が起こしたとされる爆発事故。その原因とされるのは“魔術”だと発覚。
今回の金炎の発生と同じものだと推定し、調査した。
八意魔術高等学校現理事長、鳳健之助宅に保存されている資料を拝借。以下、資料抜粋。
『魔術とは、神をこの世に呼び出す儀式、あるいは人に呪いをかける行為でもある。術式を描き、魔力を消費することで発動する。』
現代の魔法とは違い、想像力を必要としない。その代わり、魔術は人の心理や願いに強く反応するという。
“魔法”が理論で、“魔術”が感情って感じかな。
一方、魔術を過剰に使用すると身体能力や精神機能、魔力などに影響があることがわかった。記憶障害の症例も出ている。
このあたりは、魔術の概要が延々と書かれていた。ほとんどが火災の件と関係なさそうな内容だ。
「術式の挿絵とかはなかったのかね」
「真似されたら困るから、理事長隠しちゃったんじゃない?」
「なるほどね」
死ぬのはごめんだ。
でも……もし本当に金の炎が出るのなら、一度くらいは使ってみたい――そんな衝動が、頭の奥で疼いた。
それに、魔法陣を現代の魔法に置き換えて、術式を分解できた可能性だってあった。
鳳さんの家に保管されているのかもしれないが、今はまだ情報が足りない。焦って動けば、余計な火種を生むだけだ。




