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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

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第27話 秘密の調査


次の紙に目を通す。


爆発の原因調査だ。



霜月優香に魔力を移植したあと、霜月香代が体調不良を訴えた。

その後、閃光とともに爆発が発生。霜月香代は魔力の枯渇により死亡。

そのほか怪我人はなし。

魔力の移植手術で使った機械のみ破壊されていた。


対象が限定されている点は、研究所の火災と似ている……これも『二十歳まで』の魔術だったのか?



ここで報告書は途切れていた。


……やけに短いな。

体調不良と爆発の関係は調査中、ね。調べきれなかったのか。



「次は二年前の火事だね」



あぐらをかいた脚の間にすっぽりと収まって、姿勢よく見ようとしてくるソラに少しだけ癒される。その角度から文字が読めるのかどうなのかわからないけど。



「三月二十日、午前三時頃。霜月魔法研究所で火災が発生――」



ワタツミ街の消防士が活動にあたったが、消火には至らなかった。約一時間後、元ミカヅチ本部組合員の魔導士、利他ユウナが炎を巨大な瓶に閉じ込めることで事件は終息した。


炎の調査は、神屋 あらた大臣の指示で打ち切りと聞いたが、独自で調査した結果を書き記す……とある。


研究所火災の調査は中止を余儀なくされたと、前に陽菜が言っていた。

それはミカヅチ本部だけでなく、すべての組合に指示が出されたはずだ。それを反故にしてでも調べようとするなんて、結構勇気がある人だったんだな。


この報告書を作った人物の名前は細淵ほそぶち仁英まさひで。樺谷さんの前の責任者らしい。



――報告書の続きを読む。



十年前の報告書で、霜月香代が起こしたとされる爆発事故。その原因とされるのは“魔術”だと発覚。

今回の金炎の発生と同じものだと推定し、調査した。


八意やごころ魔術高等学校現理事長、鳳健之助宅に保存されている資料を拝借。以下、資料抜粋。



『魔術とは、神をこの世に呼び出す儀式、あるいは人に呪いをかける行為でもある。術式を描き、魔力を消費することで発動する。』



現代の魔法とは違い、想像力を必要としない。その代わり、魔術は人の心理や願いに強く反応するという。


“魔法”が理論で、“魔術”が感情って感じかな。



一方、魔術を過剰に使用すると身体能力や精神機能、魔力などに影響があることがわかった。記憶障害の症例も出ている。


このあたりは、魔術の概要が延々と書かれていた。ほとんどが火災の件と関係なさそうな内容だ。



「術式の挿絵とかはなかったのかね」


「真似されたら困るから、理事長隠しちゃったんじゃない?」


「なるほどね」



死ぬのはごめんだ。

でも……もし本当に金の炎が出るのなら、一度くらいは使ってみたい――そんな衝動が、頭の奥で疼いた。


それに、魔法陣を現代の魔法に置き換えて、術式を分解できた可能性だってあった。


鳳さんの家に保管されているのかもしれないが、今はまだ情報が足りない。焦って動けば、余計な火種を生むだけだ。



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