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魔導士は白猫を飼っている  作者: 汐田 伊織
4章 調査開始

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第25話 支部の爆破


通りすがりが勝手にやったことですからと、俺は丁重にお断りした。


何もしていないくせに、まるで自分の手柄みたいな顔をしている山口さんには、正直納得がいかない。



小さくため息をついて、もう一度ワタツミ支部を見た。


国の建築物を許可なく建て替えたわけだが……どうせオンボロ支部だったし、無償だからあまりうるさく言われないだろう。


「もったいない」と、肩に乗っていたソラがこそっとささやく。



「わかる」



頷いた拍子に、ソラの長いひげが頬に当たって痒かった。



「じゃあ、そろそろ帰りますね」


「あ、ま、待ってください」



立ち去ろうとしたとき、樺谷さんに無理矢理昼飯代を握らされたので、それはありがたく受け取っておいた。




***




ワタツミ駅の近くに出ていた屋台で、海老えび焼き、烏賊いか焼き、かに焼きを買った。

潮風に吹かれながら、こんがりと焼けた小さな蟹を殻ごとかじる。立ちのぼる香ばしい香りと、じゅわりと滲む旨味が口の中いっぱいに広がった。

熱さに舌を少し火照らせながら、その濃厚な甘みを噛みしめる。


手を止めれば、目の前には陽光を反射してきらめく海がある。波が寄せては返す音が耳に心地よく、潮の匂いと炭焼きの香りが混ざり合って、どこか現実感をぼやかしていく。


この組み合わせで酒でもあれば完璧だったのにな。

でも、手に入れた資料に目を通したい。



腹に隠した報告書の写しがちゃんとあるか触って確かめたあと、屋台のおじさんからもらった水を飲んだ。



「大損したな……」


「資料ひとつにしては、ずいぶん高くついたねえ」



俺の横で背筋を伸ばして座っているソラが鼻を鳴らす。


山口さんの口封じのためとはいえ、一軒家どころか一施設を建てたのに無償とか。

依頼だったら相当な額を請求しているところだ。


思いきり息を吐き出し、肩をすくめた。



……もし、報告書の内容が大したことなかったら?

そのときはもう、さっき建てた支部ぶっ壊してやるからな。

いや、それすら手間だから、爆破でもしてやるか。


ちくしょう。本当に、損な役回りばかりだ。



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