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立派  作者: 月蜜慈雨


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精神科へ行く




「適応障害ですね」




 三回目の精神科外来でそう言われた。自分でも、なんとなくそうなんじゃないかと考えていた。




「一ヶ月、完全に仕事をお休みしてください」




 医師は力強く言った。




「はい」

「この一ヶ月はあくまで様子見です。もしまだ辛いようでしたら、無理せず休みを取ってください」

「はい」




 医師の言う言葉に、はい、はいと返事しかしなかった。ネットの口コミでは、この病院は無表情で淡々と診察するから怖いと書かれていた。星も高くなかった。家の近所だから来院したけど、今はこの病院で良かったって思っている。

 今はもう、何の情報も入れたくない。

 日の下で歩くのだって嫌だ。会社にすら行けないのに。正確には、道が分からなくなった。もう五年も働いていたのに。




 休職届を出すとき、上司は少し疲れたような、難しい顔をしていた。




「人手不足だから、仕方ないことだけど、回復したら連絡頂戴ね」

「はい、ありがとうございます」




 俺は深々と頭を下げた。一か月の休みが様子見だということは、もう上司の頭の中にはないようだった。




「じゃあ、お大事にね。引継ぎは斉藤君がやってくれるから」

「はい、ありがとうございます」




 会社のエントランスを抜けると、スーツをきたサラリーマンたちが道を闊歩していた。それに紛れるように、隠れるように、帰路についた。

 家のドアを閉めて、荷物を置くと、ベッドに倒れこむ。そして、泥のように寝た。




 毎日毎日、ベッドから出るときなんて、飯とトイレと風呂くらいのときだった。その間、ずっと眠っていた。

 鬱は日中の散歩がいいと聞いたから、やってみようと思ったけど、思っただけだった。

 ベッドから出られない。

 段々部屋が汚くなっていく。

 掃除をしようとして、掃除機を手に取った。余りの怠さにすぐ諦めた。

 場合によっては、飯も食えないし、風呂にも入れない。

 とにかくただ、ひたすら眠っていた。

 



 調べたところ、どうやら、一日中眠るのは、精神が回復を求めているかららしい。

 マラソンと同じで、走っているときは走り続けられるけど、止まると倒れこむのと一緒だ。なんで今まで、会社に行って、仕事して、家に帰ったら家事も出来たのか不思議でならない。

 カーテンは閉めっぱなしだった。

 明るいのが嫌で照明も消した。

 暗い部屋の中、ただひたすら、うずくまっていた。




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